東京スター銀行 専務執行役 最高情報責任者 村山豊氏 vs.ファルチザン 代表 大塚賢二氏
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グローバル化や少子高齢化、金融商品に対するニーズの多様化等、ビジネス環境が日々変化し、競争が激化する金融業界。こういった環境の中、勝ち残るには独自の戦略が求められ、それを効果的に具現化するIT戦略が欠かせない。当連載は、金融機関向けにコンサルティングサービスを展開する国際金融総合研究センター ファルチザンの代表 大塚賢二氏が、各金融機関のCIOにIT戦略をお伺いする。第1回目は、東京スター銀行。
東京スター銀行といえば、資産形成のための情報とアドバイスの提供に特化した新しい形態の銀行店舗「ファイナンシャル・ラウンジ」を全国主要都市に展開し、対象となる預金の残高と同額分にはローン金利が一切かからない預金連動型住宅ローンのわが国におけるパイオニア「スターワン住宅ローン」、自行劣後債を組み入れたファンド「スター劣後債ファンド」、自宅を担保にローンが借りられる新型リバースモーゲージ「充実人生」などユニークな金融商品を取り扱い、その革新的で付加価値の高いサービスは常に注目の的。有力メディアの各種調査でも、ランキング上位の常連だ(2011年11月日本経済新聞社第7回銀行リテール力調査「商品充実度ランキング」第3位、2012年1月同社第8回日経金融機関ランキング「投資信託や外貨預金などの説明が親切でわかりやすい」第1位)。そんな東京スター銀行の最新のIT戦略とそれを支える運営上の秘密とは。同行の情報システムを統括する専務執行役 最高情報責任者 村山豊氏に語っていただいた。
中期経営計画「NEXT 10」を掲げ、次の10年へ
【大塚賢二(以下、大塚氏)】
――本日は、東京スター銀行さんのサービスの随所に見られる自由な発想の源泉ともいえるIT戦略についてお話を聞かせてもらえるということで、大変楽しみです。よろしくお願いいたします。最初に、御行の現況についてはどのようになっているのでしょうか。
【村山豊氏(以下、村山氏)】2001年の創業から11年が経過し、次の10年へ向かっている最中です。リーマンショック以降の国内外の厳しい経営環境や、東日本大震災の影響などにより、連結ベースで10年3月期、11年3月期と連続の赤字となっておりましたが、前期は当期純利益が26億円と黒字を回復しました。このことは、当行が、過去の不安要素を払拭し、次の10年に向けて成長するための準備が整ったことを示すものであると考えています。
【大塚氏】
――そうですか。次の10年に向けて新たなステージに入られたというわけですね。
【村山氏】将来に向けてさらに飛躍するための基礎を固め、持続的な成長を確保するための基本経営方針である中期経営計画「NEXT 10」を策定し、その実施に向けて行内一丸となっているところです。「NEXT 10」は、「信用コストマネジメント能力の抜本的向上」「資本効率性の徹底的追求」「持続的成長の確保」「円滑な金融仲介機能の発揮」の4つの柱より構成され、それぞれを一つひとつの施策に落とし込み、実現に向けて鋭意努力しています。
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