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  • 2012/06/26 掲載

環境省 南川秀樹事務次官:東日本大震災後の環境・エネルギー政策のキーワードは「S+3E」

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昨年の東日本大震災にともなう福島原発事故を受け、日本の環境・エネルギー政策は大きな変化を余儀なくされている。その一方で、CO2の排出による地球温暖化など、環境への負荷は高まり続けている。このような状況を政府はどう見ているのだろうか?環境省の環境事務次官・南川秀樹氏が、東日本大震災以降の新しいミッションや環境・エネルギー政策への取り組みなどについて語った。

東日本大震災の復旧・復興に向けた4つの柱

 いま環境省は東日本大震災の復旧・復興に向け、さまざまな取り組みを始めている。環境省 環境事務次官の南川秀樹氏は富士通フォーラム2012で登壇し、同省の新しいミッションが「災害廃棄物(ガレキ)の処理」「放射性物質に汚染された土壌の除染等」「三陸復興国立公園(仮称)を軸とした地域の復興」「原子力安全規制の見直し」の4本柱だと説明した。

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環境省の復旧、復興、原子力に関する取り組み

 まず復旧という側面では、岩手県・宮城県、そのほかの地域で大量に発生したガレキ処理の問題がある。現在、ガレキはおおむね仮置き場に撤去された。だが撤去されたままで、その処理はなかなか進んでいないのが実情だ。

 岩手・宮城だけで30基以上の焼却場をつくったものの、その処理が追いつかないため、他地域での協力を求めているという。「各方面にご無理をお願いしているが、多くの方の知恵と力の支援を借り、平成26年3月末までを目処に処分を完了したい」(南川氏)。

 また放射性物質に汚染された土壌の問題だが、ようやく年明けから「放射性物質汚染対処特別措置法」が施行された。それをベースに除染作業が避難指示地区ごとに進められている。環境省としては今後3年を目処に除染作業を進展させたいという。

 次に復興という側面では、あらたな国立公園を三陸地域につくり、打撃を受けた水産・観光業の振興と、地域の再生・活性化を図るグリーン復興計画を練っている。南川氏は「たとえば青森・八戸から福島・相馬までを縦断し、三陸の海を見ながらゆっくりと歩けるような道路整備を進めていきたい」と説明する。

 原子力についても安全規制の見直しが始まった。環境省の下で新組織として原子力規制庁を発足させ、「規制と利用の分離」「原子力安全に係る業務の一元化」「緊急事態対応の強化」を図る方針だ。そのために原子力安全規制の転換が必要であり、約40本の法律改正が待っている。

 もうひとつ深刻な話として、原発事故を受け被災した福島の人々への健康問題がある。福島県民健康管理基金などを創設し、中期的な実施体制を整備したところだ。健康調査だけでなく、中長期にわたる低線量被爆に対する研究、内部被爆・外部被爆からの影響、不安を抱く住民に対しての安心・リスクコミュニケーションなどの準備を始めているという。

地球規模の温度上昇が続く中、温暖化対策はどうなっている?

 では今回の大震災の影響を受け、環境政策の今後はどのようになるのだろうか? 環境省では「地球温暖化対策と再生可能エネルギーの導入」と「グリーン成長」という2つの柱を挙げて展開していく方針だ。

 世界のCO2濃度は増加の一途をたどっており、その結果、気温は20世紀になってからの100年間で0.74℃ほど上がり、海面は約17cm上昇した。いまCO2の人為的な排出量は1年当たり72億炭素トン。自然による吸収量31億炭素トンを大幅に上回る。そのため大気中の温室効果ガス濃度を安定化させるためには、人為的排出量を自然吸収量と同等レベルまで減らす必要があるのだ。

 これまでも京都議定書で合意した対策をとってきたが、最もCO2を排出している中国・米国がしっかり規制しないと意味がない状況だ。2050年には産業革命のころから比べて3℃~6℃も温度が上昇してしまうという予測もある。

 国際的な専門家が集い、地球温暖化についての研究を進める政府間機構・IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)の第4次評価報告書では「2050年までに気温上昇を2℃に抑えられれば、壊滅的な影響が避けられる」としている。 これを達成するためには少なくとも世界のCO2排出を半分にしなければならない。

 南川氏は「我々としては、なるべく早い時期にこれを達成し、とにかく温室効果ガス濃度の上昇を止めたい」と強調する。

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