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- 2012/03/29 掲載
父が息子に贈るコンサルティング講座(最終回)~「仕組みとして結実させる-2」 グローバル衆知結集体制の完成
「まず、仕組み化に先立って、3つのモデルを考えました。谷川事業部長の戦略から、戦略課題を明確化し、これを解決する方法をモデル化したものです」
僕は、親父に教えてもらったモデルに基づく仕組みを、原部長に示した。
各国が改善活動や営業パーソンの努力で生み出した知見の中で、問題解決策や要望は、既に各国情報システム部門が引き上げてシステムの拡充をしている。しかし、成功やノウハウはフォローされていない。これらを、どうやって拾い出すか。
【モデル:成功分析】
問題・要望と同等に、成功を分析するケイパビリティを獲得する。問題ではなく成功、そしてノウハウを抽出・体系化・普及させるケイパビリティだ。これには、まず、成功事例、ノウハウ実践事例を明確化し、これを普遍性のあるロジックに展開するスキルを持つことが重要だ。(第11回参照)
【仕組み】
このスキルは、各地域の情報システム部のスキルとしてそして定義し、これができる人材を育成。スキル認定制度にも組み入れる。彼らが、担当国の成功事例・ノウハウを集める。また、システム部門の支援によって、将来は営業部門のマネージャー以上にも普及させる。
現在、各国改善事例はデータベース化され、他の地域で参照できるが、これを活用することは営業パーソンの個人任せとなっており、良い知見をグループ全体に普及する仕組みはない。
【モデル:業務標準化と継続拡充】
業務とシステムを世界で統合・標準化する。そして、前述の成功分析結果の中から良いものをグループの知見として認定し、本標準に継続的に追加し、世界へ展開する。
【仕組み】
営業業務改革責任者が、定期的に「営業業務改革グローバル会議」を開催する。ここへは、各国の営業企画部から、その期間に新たに創造された成功事例、ノウハウ、これらを基に作られた営業革新策が示される。「営業業務改革グローバル会議」では、革新策を評価し、グローバルグループに展開すべき知見を認定する。認定された革新策は、本社営業企画部と営業システム担当が、標準業務とシステムに組み込む。そして、世界に普及させる。
成功事例やノウハウの中には、特定の国やビジネス形態、特定顧客や製品固有のものもある。それらの中から、どのように正しい知見を選び正しく使うか。
【モデル:グローバル知見適用体系】
知見の標準化では、知見ごとに、適用可能なビジネス形態、地域・国、製品、顧客を明確化する。
【仕組み】
前述の「営業業務改革グローバル会議」で、知見ごとに、適用可能なビジネス形態、地域・国、製品、顧客を明確化。結果は、IBS(イノベーション・ブレークダウン・ストラクチャー:第12回参照)に登録する。
「ふむふむ。このモデル化という手法は、わかりやすいですね。仕組みの前にモデルがあれば、文化の違うヨーロッパでも理解できるでしょう」
石津が言った。僕と原部長は、あんぐりと口を開けて石津を見た。石津が、まともなコメントをしている。
「石津さん、何かあったんですか」
「さあ」
恋の力は恐ろしい。
【次ページ】グローバル衆知結集戦略実現のための仕組み
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