日立製作所は、英国運輸省（DfT：Department for Transport）の都市間高速鉄道計画（IEP：Intercity Express Programme）について、日立が出資する特別目的会社「アジリティ・トレインズ（Agility Trains）社」を通じて、正式契約に向けた交渉を再開することとなったと発表した。

　今後、日立およびアジリティ・トレインズ社は、英国運輸省を含む関係者との間で最終的な契約条件の交渉を行い、年内に正式契約を締結する見通し。

　本契約が成立すれば、アジリティ・トレインズ社は、約30年にわたって英国鉄道事業者に対する車両リース事業を展開する。さらに日立は、アジリティ・トレインズ社より同社のリース事業向けの車両の製造、ならびに約30年間にわたる保守事業を一括受注をする。

　アジリティ・トレインズ社は、2009年2月12日、英国運輸省から本件に関する優先交渉権を獲得し、正式契約に向けた交渉を実施してきた。しかし、2010年5月に英国総選挙への影響回避を理由に、同年2月に契約交渉が凍結されていた。

　また選挙後の新政権が緊縮財政へ方針転換を図ったことにより、各政府投資案件に対して厳しい見直しが実施されていた。これを受けて、アジリティ・トレインズ社は提案の改善を実施。その結果、英国政府より信頼性・環境負荷・快適な旅客サービスなどを含む投資対効果の面において、優位性が改めて認められたことにより、交渉再開が決断されたという。

　また、日立は、IEPを含む今後の英国および欧州における鉄道システム事業強化に向け、欧州における鉄道車両の生産・組立拠点の設立を計画しているという。

　現段階では、拠点の最有力候補地は、英国・イングランド北東のダーラム州ニュートン・エイクリフ（Durham County Newton Aycliffe）。新拠点は、500人規模での生産を開始し英国の雇用創出に貢献するとともに、世界トップクラスの生産技術を備えた工場となる予定だという。