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- 2010/08/19 掲載
グーグルはなぜスマートフォンOSを無償で提供するのか:財務諸表からスマートフォン戦略を読み解く(3)
マイクロソフト、アップル、グーグルなど5社を比較
グーグルのP/Lを見る
これまでご紹介してきたように、マイクロソフトは主にソフトウェア(OSを含む)、アップルはソフトウェア(OSを含む)+ハードウェアを提供していますが、グーグルはこの2社とはビジネスモデルがまったく異なります。まずはグーグルのP/Lを見てみましょう。図表1は、同社の4半期ごとのセグメント別売上高推移と営業利益率を示しています。そのセグメント構成は以下の3事業で、ソフトウェアやハードウェアのセグメントはありません。
2)Google.com以外での収入(他のポータルサイトへの検索エンジンの提供など)
3)その他(企業向け検索アプライアンスの提供など)
Google.comでの収入については、同社の検索連動型広告サービスであるGoogle AdWords、AdSenseサービスがその中心となります。この事業での同社の強みは、言うまでもなく、検索を通じて、広告主とユーザーをマッチングさせるテクノロジーです(いわゆる検索連動型広告)。
検索連動型広告でのグーグルの業績は急拡大しており、このセグメントでの09年12月期の売上高は157.2億ドル、1ドル90円換算で1兆4150億円にのぼりました。日本最大の広告代理店、電通の2010年3月期の連結売上高は1兆6786億円なので、この売上高に匹敵する規模です。
電通と違うのは、検索連動型広告を実現するために必要なものは、基本的にサーバ上の検索連動プログラムを提供するだけであり、主なコストは人件費、研究開発費、サーバ維持費、管理費くらいです。そのため、第1回でみたように、今回比較した企業の中で最も高い営業利益率(グーグル全体の2009年12月営業利益率実績 35.1%)を実現し、2008年12月期第1四半期から10年12月期第1四半期までのGoogle.com事業での年平均成長率(CAGR)は+3.5%成長、マーケットシェアについても、これまでグーグルが検索エンジンにおいて圧倒的な強さを誇っていました。
順風満帆なように見えるグーグルですが、検索市場での存在感を増す一方で、2009年は売上高の成長率が鈍化しており、成長神話に陰りが見えてきました。主戦場の検索エンジンも、グローバルではマイクロソフトのbingが徐々にシェアを上げており、今後、米Yahoo!の検索エンジンとして利用されれば、さらにシェアが上昇すると考えられます(日本ではグーグルが提供するようですが)。
このように、グーグルは革新的であるがゆえに、高いハードルを課せられており、次の成長戦略を描いていく必要があるのです。
【次ページ】グーグルはなぜスマートフォンOSを無償で提供するのか?
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