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- 2010/03/05 掲載
【ITが実現するノウハウマネジメント:第8回】ノウハウ・ポータルで、視点を充実させる
ノウハウ・ポータルで、視点を充実させる
ノウハウを、新しい経営リソースとしてマネジメントすることで、革新を達成することができる。今回は「ノウハウ・ポータル」の第2回として、「視点」の共有・活用方法を示す。前回、ノウハウの定義を、「成果を上げる思考・行動方法で、現在組織的に共有されていないが、説明し、共有し、実践できるものである」とした。そしてこのノウハウを、実践手順やフォーマットに体系化し、ノウハウ・ポータルで共有する方法を示した。ノウハウ・ポータルでは、このような体系化されたノウハウ以外に、物事の見方や発想の切り口を共有することで、効果を上げることができる。本書では、先のノウハウを行動規範(狭義のノウハウ)。物事の見方や発想の切り口を「視点」と呼ぶ。
たとえば、システム部門のハイパフォーマーが、ITを用いた業務革新の推進において、「ユーザー要望に迎合せずプロとして考える」というノウハウを用い、成果を上げていたとする。ユーザーの中には、ITを用いた業務革新の知識や経験が少ない者もいる。自部門のことは考えられるが、部門を越えた全体最適を考えていない場合もある。そこでシステム部門のハイパフォーマーは、ユーザー要望は重要な検討の要素の1つではあるが、これ以外に、自分の経験や知識、全体最適の発想を加え、プロとして妥当な革新策を考えていたのである。これは、行動規範と位置づけられる。これに対して、ITを用いた業務革新の「視点」とは、たとえば以下である。
ある企業の情報システム部門では、グローバルグループ各社の情報システム部門のノウハウ共有と、一体感醸成のために、情報システム部門用のグローバル・ノウハウ・ポータルを構築した。このポータルで成果を上げたのは、ITを用いた業務革新の視点である。
まず1つは、「イノベーション・ブレークダウン・ストラクチャー(IBS)」である。IBSは、ITを用いた業務革新の実績から、革新の視点を求め、これを構造化したものである。IBSは、売り上げ向上、原価削減、在庫削減などの革新の目的ごとに、革新策がツリー状に展開され、その最下層に、ITを用いた革新策の事例が紐付いている。たとえば売り上げ向上の場合、これを実現するためには、「勝率向上」、「訪問頻度向上」、「新規顧客開拓」などが必要となる。「勝率向上」のためには、「差異化」や「売価低減」が、さらに「差異化」には、「競争相手よりも早く対応する」などの革新策が必要になる。たとえばBtoB事業を推進するA事業部で、以下のITを用いた業務革新を実施した場合、これは、「競争相手よりも早く対応する」事例の1つとなる。
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