- 会員限定
- 2010/01/18 掲載
投資の効果を測るEVAとは:CIOへのステップアップ財務・戦略講座(5)
トレンドマイクロとソースネクストから読み解く
ROEとEVA:投資とリターンの関係
企業が投資をする目的は明快です。それは投資をすることによって、投資以上のリターン(利益)を得ることです。この投資とリターンとの関係を表しているわかりやすい例がROE(Return on Equity:自己資本利益率)です。自己資本利益率とは、株主からの出資(自己資本)に対して、どれだけ当期純利益をあげたか、その割合を示す割合のことです。たとえば、1株10万円で出資したとして、1株当たりの当期純利益(これをEPSと呼びます)が5,000円だとすれば、ROEは5%となります。このように投資とリターンの関係を自己資本利益率という形でわかりやすく具体化する「ROE」は、収益性を図る指標として現在広い範囲で利用されています。ただし、ROEは万能ではありません。たとえば、ある事業部における設備投資の効果を測定するという用途にはROEには向いていません。そこで登場するのがEVAです。まずはEVAを求める方程式からみてみましょう。
ぱっと見るだけでは戸惑われるかもしれません。後ほど実際の企業例を用いて個別に解説しますが、まずは結論から先にご説明しておきます。税引後営業利益(NOPAT:Net Operating Profit After Tax)とは、企業が生み出した利益を指します。一方、資本費用とはNOPATを生み出すために使用したコストです。すなわち、利益(NOPAT)から費用(資本費用)を引いた残りがEVA(経済的付加価値)となり、その額が大きければ大きいほど付加価値を生んでいる、投資に対して高いリターンを上げていることを意味します。EVAを増やすには、NOPATを増やすか、資本費用を減らすかのいずれかが必要になります。資本費用の詳細については後述するので、まずはEVAは利益から費用を引いたもの、くらいに思っておいてください。
概要を説明したところではピンと来なかった方もいらっしゃるかと思いますので、実際のEVAを比較しながら考えてみましょう。今回は、PC向けソフトウェアなどを手がけるトレンドマイクロとソースネクストを取り上げてみます。
EVAの前に、両社の収益構造について簡単に触れておきましょう。共通するポイントは、両社ともWindows PC用ソフトウェアをビジネスの中心に掲げている点です。
両社の相違点としては、下記の表のようになります。
トレンドマイクロ | ソースネクスト | |
販売地域 | 北米・欧州・アジアなどの海外売上比率が6割で国内は4割 | ほとんどが国内向け |
商品/サービス | 企業向けセキュリティソリューション | 個人向けPCソフト |
商品のジャンル | セキュリティ分野(ライセンス提供)が中心 | セキュリティのみならず学習用や日用ソフトも取り扱うなど広範 |
ビジネスモデル | ソフトウェアの開発も手がける | 他社製品のOEM販売が中心 |
ビジネスモデルの差は、両社の営業利益率にも反映されています。トレンドマイクロのここ数年の営業利益率は30~40%程度と高い一方で、実質販売だけを行っているソースネクストのここ数年の営業利益率は3%程度です。
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました