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- 2009/03/12 掲載
【ITが実現するノウハウマネジメント:第3回】「衆知結集」による経営革新の進め方
「衆知結集」による経営革新の進め方
ノウハウを、新しい経営リソースとしてマネジメントすることで、革新を達成することができる。これまでの2回、ノウハウマネジメントの一手法として、「衆知結集」による拡販と、研究開発の知的生産性向上の事例を紹介してきた。今回は、「衆知結集」の進め方、そこでの重要な考え方を示す。「衆知結集」の進め方
国内市場成長の鈍化やグローバル競争激化の中で、企業が抱える課題は難易度を増している。これまでの延長線上にあるアイデアでは、対応が難しい。そこで企業は、担当者1人、あるいは1部門の知恵ではなく、社内外の衆知を結集して課題解決に臨もうとしている。たとえば、研究開発部門では、いくつかあった研究所を1カ所に集め、研究者同士のコミュニケーションを活発化しようとしている。また、大学や他社との研究開発コラボレーションを積極的に進めている。営業やマーケティング部門では、顧客を組織化して、生の声を聞ける仕組みを構築している。現場改善活動では、部門別から、部門を越えたクロスファンクションへと実施体制を変え、部門を越えたアイデアを出そうとしている。
しかし、ほかの組織や社外の人と議論する機会が与えられるだけでは、衆知結集は進まない。問題の1つは、意識である。今まで衆知結集を組織的に進めていなかった組織に、急に外に行って議論しろといっても、思考や行動はすぐには変わらない。
研究所の統合や、顧客の組織化を行った企業では、多くの効果が得られている。しかしそのような効果を上げた人の中には、もともと会社が支援しなくても、勝手に社外に行って必要な議論をしてきた人たちが多い。そのような人は、チャレンジ精神が旺盛で、高い達成水準をもっている。今までそのような行動を起こしていない者は、たとえ場が与えられても、衆知結集に積極的に取り組まない例も多い。
以下は、複数の大手企業の部門別に、与えられた課題の難易度と、外部の人と議論する努力の関係を調査した結果である。
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与えられる課題の難易度が高いほど、ほかの部門や社外の人と議論する努力が大きくなっていることがわかる。自分1人で、あるいは同様な発想をする同じ部門の人だけで考えても、難問解決の切り口は見えてこない。そこで、積極的に外に行くわけだ。逆に言うと、そのような難問を与え、かつ解決に対する強い執着心をもたなければ、衆知結集は起きないのだ。さらりと解決できる課題であれば、わざわざ外に行って議論することはしない。たとえ難問を与えられても、これが解けても解けなくてもフォローがなければ、やはり衆知結集は起きない。
難問のアサインと解決への執着心醸成は、経営幹部でなければ実施できない。衆知結集は、経営幹部が主導すべき革新なのである。
衆知結集を進めるにあたり、1人ひとりの能力を高めることも重要だ。組織外の人間に会えても、何を聞けばいいかわからない。どのような議論をすれば、難問が解決できるかわからない。これでは、衆知結集は進まない。
顧客の生の声を聞くことができるようになったマーケット担当者の中には、情報洪水の中で分析にばかりに時間を割き、新たな施策を生み出せないメンバーもいる。クロスファンクションで改善策を出す場合、関連部門の要望調整に時間がかかり、全体最適な改善策を作ることができないチームもある。衆知結集の成果に差があるのは、衆知結集にノウハウが存在するからだ。衆知結集の組織的推進に取り組む場合、このノウハウの抽出と普及が重要である。
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