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次世代携帯電話の通信規格に関する動向が活発化している。100Mbps超の高速通信を実現する第4世代(4G)規格に向け、現状の3G~3.5Gから、3.9Gへシフトしようとしている。そのキーテクノロジーとしてWiMAXとともに注目を集めているのがLTE(Long Term Evolution)だ。LTEとは何か、WiMAXと何が違うのかを見ていくことにしよう。
携帯電話の3.9G規格とは何か?
携帯電話の3G通信規格には、W-CDMAの高速データ規格である「HSPA(HSDPA/HSUPA)」とCDMA2000の高速データ規格「EV-DO Rev.A/B」の2つがある。日本ではNTTドコモとソフトバンクモバイル、イーモバイルがHSPAを、auがEV-DO Rev.Aを採用しており、既にサービスを提供中だ。これらの規格は俗に「3.5G」と呼ばれている。
HSPAは最大下り14.4Mbps、EV-DO Rev.Bでは最大73.5Mbpsの帯域を理論上は確保できる。しかし、現状では、HSPAの場合下り最大7.2Mbps、EV-DO Rev.Aの場合は下り3.1Mbps(共に理論値)に留まり、実際の帯域は環境や端末の種類によって異なるが、HSPAで平均1~2Mbps程度、EV-DO Rev.Aで500Kbps~1Mbps程度と、ADSLやFTTHなどのブロードバンドとの速度差はまだまだ大きい。
この携帯電話のデータ通信速度を劇的に向上させるには、現状の3.5G規格の上位規格であり、最大1Gbpsもの広帯域通信を可能とする「4G(第4世代移動通信システム:IMT-Advanced)」の標準化を待たねばならない。当初、4Gは2010年頃の実用化を目標としていたが、現状では、2007年末頃から本格的な標準化活動が行われており、2011年頃を目処に基本的な仕様案を固める、といった動きになっている。
この4Gの本格的な普及を前に、既存の3.5Gの技術をベースにさらなる高速化を図る「3.9G」が本格的に動きだそうとしている。この規格には、ワイヤレスブロードバンド規格として2005年に標準化されたWiMAX(モバイルWiMAX:IEEE802.16e)のほか、LTE(Long Term Evolution)、UMB(Ultra Mobile Broadband)の3種類がある。
WiMAXは、Wi-Fiと同じIEEE(電気電子技術者協会)で標準化が進められたもので、その意味で無線LANの次世代規格と捉えることができる。一方、LTEはHSPA(HSDPA/HSUPA)の、UMBはEV-DOの後継規格(EV-DO Rev.C)と位置づけられ、標準化の舞台はIEEEではなく、携帯電話の規格策定の舞台、ITU(国際電気通信連合)で行われている。
図1 既存の3.5Gと3.9Gの規格
世代 規格 周波数帯域 多重方式 多重アクセス方式 MIMO技術 最大速度(下り) 最大速度(上り)
3.5G EV-DO Rev.A 1.25MHz FDD TDMA/CDMA なし 3.2Mbps 1.8Mbps
3.5G HSPA(HSDPA/HSUPA) 5MHz FDD/TDD TDMA/CDMA なし 14Mbps 5.7Mbps
3.9G UMB 1.25/5/10/20MHz FDD OFDMA/CDMA あり 288Mbps 75Mbps
3.9G LTE 1.25/5/10/20MHz FDD/TDD OFDMA/SC-FDMA あり 326.4Mbps 86,4Mbps
3.9G WiMAX 5/10MHz TDD OFDMA あり 75Mbps 75Mbps
※最大速度はあくまで理論上の最大値であり、実際に提供されるサービスでは表上のものよりも低くなる
【次ページ】3.9Gの高速化技術とは?
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