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- 2011/06/20 掲載
WiMAX2とは何か?IEEE 802.16mの仕組みとポイント
下り300Mbps以上の超高速モバイル通信の可能性
WiMAX2は、WiMAXサービスの進化形
現在提供されているモバイルデータ通信のサービスは、携帯電話会社が提供する「HSPA(HSDPA/HSUPA)」方式によるものが主流だ。HSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)は、第3世代携帯電話(以下3G)の標準化団体である「3GPP(Third Generation Partnership Project) 」が策定した高速パケット伝送規格で、NTTドコモ(FOMA)、ソフトバンクモバイル(Softbank 3G)、イー・モバイルの3社が提供している。その一方で、「UQコミュニケーションズ」が提供するWiMAXサービスも大きくユーザー数を伸ばしている。この現行のWiMAXの規格は「IEEE 802.16e」というものだ。規格上では下り最大64Mbps、上り最大28Mbpsの通信が可能だが、現状では下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsのサービスとして提供されている(いずれも理論値)。
このWiMAXの通信速度は、現状の通常の3G携帯電話で用いられているHSPAの通信速度と比較すれば高速だ。HSPA通信には「カテゴリ」という単位で通信速度が決まるが、一般的な通信速度は下り7.2Mbpsだからだ。ただ、NTTドコモはLTEによる次世代通信サービス「Xi(クロッシィ)」を2010年12月からの提供を発表し(サービス当初は下り37.5Mbps)、ソフトバンクモバイルやイー・モバイルは「DC-HSDPA」というHSPAの最新規格を使ったサービス(下り理論値で42Mbps)を掲げており、高速無線通信規格はまさに群雄割拠の状況にある。
こうした中、2012年にも開始される予定なのが次世代WiMAX、WiMAX2だ。WiMAX2の正式な規格は「IEEE 802.16m」というもので、2011年4月にIEEE(米国電気電子学会)によって正式に承認された。
WiMAX2の通信速度は多重通信で使うアンテナの数や使用する周波数によって異なるが、下り最大330Mbps、上りは最大112Mbps(いずれも理論値)だ。これが実現すれば、モバイル通信でありながら、自宅やオフィスで利用している光回線に匹敵する接続スピードが得られることになる。WiMAX2は、2010年にモバイル通信の4G規格(ITU:国際電気通信連合の定める第4世代移動通信システム)の1つとして認められたワイヤレスインフラである。
しかも、現行のWiMAX(IEEE 802.16e)との下位互換性もある。「UQコミュニケーションズ」では既に、2012年にサービスを開始することをアナウンスしている。ただ具体的な製品はまだ登場しておらず、現行のWiMAXモデム/ルータ製品とWiMAX2対応製品との相互利用が可能になるのは大きなポイントだろう。
【次ページ】WiMAX2は4G通信の本命となるか?
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