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  • 2019/12/26 掲載

5Gのビジネス活用、ガートナーが指南するデジタル戦略への3つの組み込み方

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次世代のビジネス、さらに社会の基盤として世界中で注目を集める「5G」。ガートナーの調査によれば、5Gに関心を示す企業は全体の約75%にも達するという。では企業は5Gをデジタル戦略にどう組み込めばよいのか。また、実際に活用の検証に着手した企業の割合はどのぐらいいるのか。ガートナー バイス プレジデント,アナリストの池田武史氏が5Gの特性や技術動向について説明するとともに、企業が本格的にビジネス活用を進めるうえで押さえておくべきポイントについて解説する。
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5Gをデジタル戦略の中でどう位置付けるべきか
(Photo/Getty Images)

5Gの3つの特徴とそれに応じたシナリオ

 国内でも2020年春に正式サービスの開始が予定されている第5世代移動通信システム、通称「5G」。ガートナー バイス プレジデント,アナリストの池田武史氏は、「IoT(Internet of Things)やAI、MaaS(Mobility as a Service)、スマートシティといった多様な文脈で語られるこのキーワードですが、これまでの移動通信サービスとの決定的な違いは、こうした社会的な基盤として用いられることに期待が集まっている点です」と強調する。

 それを可能にしたのが、5Gの3つの特徴だ。まず挙げられるのが「高速」であること。現在、国内で主流の「LTE」と比較すると、速度は約100倍に達すると言われ、2016年には実証実験で20Gbpsもの高速通信を実現した。

 2つ目の特徴は無線部分での通信遅延が最速で1ミリ秒以下という「低遅延」だ。これにより、「無線と有線を含めたネットワークの遅延が、極めて遠方との通信でも、人がモノを認知し、判断し、行動を起こすために要する一連の時間とほぼ同等の100~200ミリ秒にまで短縮されます。結果、今までにない高度な遠隔制御が可能となります」(池田氏)。

 3つ目の特徴は、センチメートル単位での位置の把握を可能とする「高密度」だ。これにより各種センサーと連携した、周辺環境のより精緻な把握が可能となる。

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ガートナー調査:5Gに「関心を示す」企業の割合と「検証着手」の割合

 また、ガートナーの調査によると、5Gに関心を示す企業は全体の約75%にも達するが、検証に着手した企業はまだ20%に満たない。標準化がおおむね完了することで、2020年以降、5Gの真価がいよいよ試されることとなるだろう。

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5Gへの関心と取り組みの現状
(出典:ガートナー)

5Gのインパクトは「いつでも、どこでも」の高度化

 5Gの標準化はキャリアや通信機器ベンダー、学術機関などが参加する標準化プロジェクト「3GPP(3G Partnership Project)」が推進しており、実は作業は現在も進められている最中だ。

「5Gの具体的な使い方を踏まえ、今後、多様な企業を巻き込みつつグローバルで標準が固められ、2020年のリリース16でようやく多くの仕様が固まる見込みです。したがって国の威信をかけた5Gを巡る戦いはこれからが本番です」(池田氏)

 では、5Gは具体的に、何に、どんなインパクトをもたらすのか。池田氏によると、それは「人とモノ(システム)」「モノとモノ(システム)」「人と人」とのインタラクションの向上による、「いつでも、どこでも」の高度化なのだという。

 たとえば、人とモノのインタラクションによる遠隔作業の快適化。低遅延のメリットを生かし、遠隔地からの医療や土木・建築、教育といった場所での作業が新たに可能となる。

 モノとモノのインタラクションでは、IoTやAIをさまざまな社会インフラに適応させることで、さらなる緻密な観測、分析を通じたサービスの向上が実現される。対象となるシステムは交通から環境、物流、電気など極めて広範だ。

 人と人のインタラクションでは、従来の音声や映像のコミュニケーションに、ARやAIによる認識や推論が加わることで、その質が格段に向上する。これまでのテレビ放送やゲームなどは、その姿を大きく変えることとなる。

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