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- 2025/03/19 掲載
「グラミー賞DJ」も推す音楽生成AI Riffusion、「秒で作曲」の実力とは

音楽生成AI「2強」に挑む新星とは
楽曲生成AIプラットフォームとして現在人気が高いのは、2023年12月にリリースされたSunoや、翌2024年4月にパブリックベータ版が公開されたUdioだろう。この「2強」の構図に、今年に入って変化の兆しが見えている。その兆しとは、Riffusionという新興企業の存在だ。
サンフランシスコを拠点とする同社が2025年1月末に公開したのが、独自に開発したAIモデル「Fuzz」を根幹とする無料で楽曲生成が可能なAIプラットフォームRiffusion(ベータ版)だ。テキストプロンプトや音声クリップからオリジナル楽曲を生成するだけでなく、使えば使うほどユーザーの好みを学習し、楽曲をパーソナライズできる能力を備える。

同モデルの特徴は、StableDiffusionなどが採用している画像ディフュージョンの手法を音声スペクトログラムに応用した点にある。
このアプローチは、グーグル、メタ、TikTokなど大手テック企業の研究開発にも影響を与えたと言われており、業界でも注目される存在となっている。ブラインドテストにおいては、同じ歌詞や音声プロンプトを与えた際に競合モデルを上回るパフォーマンスを発揮したと報告されており、SunoとUdioにとっては脅威になる可能性を秘める。
「グラミー賞」受賞DJデュオが顧問就任
楽曲制作におけるAIツールを、人間を代替するものではなく、協働ツールとして位置付ける同社の方針も多くの支持を集める理由だ。実際DJデュオのThe Chainsmokersのアレックス・ポール氏が同社顧問に就任するなど、プロのアーティストらからも支持を得ている点は注目に値する。価格面でも、競合他社が有料サブスクリプションモデルを採用する中、無料で公開しているアプローチも一気にユーザーを獲得できる要因になり得る。
Riffusionは現在10人の少数精鋭チームで、プロミュージシャンからカジュアルユーザーまで、幅広いユーザーの要求に応える直感的なインターフェースの開発に注力しているという。同社は2023年10月に400万ドルのシード資金を調達しており、2025年にはさらに開発を進める計画だ。楽曲生成AI市場において、無料モデルを武器に既存プレーヤーの攪乱を狙う。 【次ページ】「カバー曲」制作も高レベル?
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