• 2007/12/18 掲載

【戦略的Webサイト構築術/連載[5]】 ペルソナマーケティングのススメ

~顧客が見えづらい時代だからこそ必要なこと~

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Web2.0というキーワードが一人走りをしている。企業は挙って自社のWebサイトをWeb2.0対応にしようとするが、その本質を見誤ると目的を達成することはできない。では、Web2.0をどう捉えるか。どういったサイトを構築すればよいのか。トライベック・ストラテジーの後藤洋氏が論じる連載の第5回をお届けする。

連載一覧


【売上アップ】戦略的Webサイト構築術
後藤 洋氏
トライベック・ストラテジー
コンサルティング部
ゼネラルマネージャー
 前回は、ユーザの行動に基づいたサイト内コンテンツ、導線などを効果的に配置していく<ユーザシナリオ設計>についてお話ししたが、今回はそれをより具体的に、かつ、わかりやすくしていく手段のひとつとしてペルソナという手法をご紹介したい。

「ペルソナ」(persona)ってなんだろう?

 「ペルソナ」(persona)とは、直訳すれば「仮面」「人格」といった意味であるが、定量的なデータから会社にとって重要な顧客セグメントを見つけ出し、そのなかから、インタビューしたり商品の利用状況を観察したりといった方法で数人の定性的なデータを取得し、それをもとに架空のターゲット像を創りだすというマーケティング手法のひとつである。要は、戦略的に狙うべきターゲットを、誰が見てもわかりやすいようにキャラクター化していくという手法である。

「ペルソナ」(persona)の重要性

 ではなぜこの「ペルソナ」が重要なのか?どのような種類のWebサイトにおいても、発信者側が伝えたいイメージや情報を届けたい相手(情報の受信者)は存在する。この相手をターゲットユーザーと呼ぶ場合が多い。多額の費用を投じてリッチなインタフェースや洗練されたデザインをもつWebサイトを作ったとしても、その意図がターゲットユーザーに届いていないようでは、結果的に優れたWebサイトとは言い難い。このような結果にならないように、「Web戦略フェーズでターゲットユーザーの設定をしっかりすべき」という点はこれまでお話ししてきたとおりである。

 ただし、このターゲットユーザーの設定が非常に難しい。ターゲットユーザーの設定をいったん間違えると、すべてのシナリオがその間違ったターゲットユーザーに向けて設定されてしまうため、効果を上げることが困難になる。また、ターゲットユーザーを設定しても大枠での概要設定のみに止まり、前述と同じような結果になってしまうこともある。

 たとえばよくある話だが、<20代の独身男性>をターゲットと設定した場合、それがどんなユーザーか想像できるだろうか。人によっては<一流商社に勤める、高級志向の独身貴族>また一方では、<物欲はそれほどなく、身の回りの生活用品は100円ショップで購入している倹約家>…というように、具体的にしていくプロセスの流れのなかで大きく変わる部分であることがわかる。

キャラクター化していくことで
ターゲットユーザーが見えてくる

 そこで「ペルソナ」である。この<20代独身男性>という大枠のターゲットユーザー像をキャラクター化していくのである。キャラクター化していく際に必要な情報として、地理的情報(住まい、地域特性など)、デモグラフィック情報(年齢、性別など)、サイコグラフィック情報(ライフスタイル、パーソナリティなど)、行動特性情報(購買状況、態度など)などが挙げられる。キャラクター化のステップのなかで、こうした情報によって肉付けしていき、ユーザを作り上げていくのである。具体的なユーザー像ができあがった後は、あたかもそのユーザーの物語を作るようにシナリオを創っていくことになる。

 この「ペルソナ」によって導き出されたターゲットユーザーは、さまざまな場面で活用することができる。戦略策定、シナリオ設計、サイト設計、デザイン設計、など実行企画および構築に向けて、ひとつの【ぶれない軸】を作り出すことができるのである。

「ペルソナ」(persona)の落とし穴

 最後に、この「ペルソナ」という手法を実行するうえでの注意点についてお話ししたい。「ペルソナ」は非常に有効なマーケティング手法であると同時に、大きな落とし穴もある。事前のマーケティング調査や、検証データがあるうえで十分な検討を経た「ペルソナ」は、その設定にぶれが生じづらく、有効な設定になると言える。しかし、仮説ベースだけでイメージ先行型の検討をしていった場合、想定していたターゲットユーザーとは違った「ペルソナ」を創りだすことになり、冒頭お話ししたような迷走状態を引き起こしてしまうのだ。十分に協議を重ねて、最重要ユーザーのキャラクター化をしていくステップを忠実かつ正確に経ることができないならば、別のアプローチを検討した方が妥当である。



【筆者プロフィール紹介】
後藤 洋氏
トライベック・ストラテジー
コンサルティング部 ゼネラルマネージャー

慶應義塾大学法学部卒業。同大学卒業後、ソフトバンクに入社。同社出版部門の広告 局にて、幅広いクライアントの広告営業に従事。また新規事業立ち上げにおいてマー ケティングを担当。2002年4月より、トライベック・ストラテジーに参画。同社のユー ザー視点でのワンストップソリューションを核に、IT、飲料、金融、エンタテインメ ント、など業種業態にかたよらない幅広いプロジェクトに従事。Webマーケティング 戦略、プロモーション戦略の策定から企業ブランドサイト構築、ECサイト構築、コミュ ニティサイト構築などを手がける。専門は、Webマーケティング戦略全般/コミュニ ケーション戦略/ブランドサイトならびにコミュニティサイトプランニングおよび構 築など。


【会社プロフィール紹介】
トライベック・ストラテジー
「徹底的なユーザー視点」を核にマーケティング戦略のIT化を支援するプロフェッショナル集団。
Web戦略の策定からWebシステム開発、サイト運営まで、eビジネスのトータルソリューションをクライアントの方々とともにゴールを共有して、ワンストップで提供することを目指す。
同社のプロジェクト実績を見る




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