- 2007/04/23 掲載
仮想コミュニティ「セカンドライフ」とマーケティングとしての可能性(2/2)
野村総合研究所 社会ITマネジメントコンサルティング部 主席研究員 山崎秀夫氏
Web2.0への投資とまったく同じこと
社会ITマネジメントコンサルティング部 主席研究員 山崎秀夫氏 この記事の内容は ストリーミングでも視聴できます。 |
ボランティアによる大衆表現が活発になると、広告料が非常に大きなウェイトを占めるようになる。今言われているのは、Web2.0でゲーム内の広告市場が立ち上がるということである。2007年に2億ドル、2010年に7億ドル程度の広告費がゲームの中に流れていくといわれている。それほど大きな数字ではないが、これがどこまで大きくなるかは今後注視する必要があるだろう。セカンドライフへの参入は企業にとって一種の広告費に過ぎず、しかもそのバリアは非常に低い。何といっても100万円もあれば、しっかりした仮想オフィスを構築できてしまうのだ。
さらにおさえておかなければならないのが、米国で2009年2月に、日本では2011年7月に予定されている地上波のデジタル化だ。放送がすべてデジタル化される一方で、広告費はインターネットへ一気にシフトしていく。その一部はセカンドライフにももちろん流れる。企業が注目しているのは、シフトした広告費を誰が取るかということである。
考えられるのは、消費者が作成するコマーシャル、つまりCGCMだ。それからバイラルアドと呼ばれるクチコミ広告や、ブランデッド・エンターテインメントと呼ばれる企業ブランド強化のためのプロモーション活動だろう。これらにはすでに成功例があり、これからも流行っていくはずだ。
もっとも仮想コミュニティには、リピーターが少ないという問題もある。mixiと比べても半分くらいしかいない。したがって企業活動のなかでのセカンドライフの立ち位置は、ネットイベントという形でほかのメディアと連携していく、いわゆるメディアミックスしかないと思っている。セカンドライフで行なったイベントをビデオに録画してYouTubeに流したり、あるいは物理的店舗に誘導したり、対面イベントに持っていったりと、いろいろなメディアを利用して導線コントロールに使うという方法だ。マーケティングという意味でセカンドライフが生き残るには、こういう要素が欠かせない。
(執筆:田中拓也)
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