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  • 2024/04/23 掲載

今さら聞けない「ステマ規制」とは、どこからが違法?わかりやすく解説

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広告であることを隠して宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」。国の調査ではインフルエンサーの約4割が企業からステマの依頼を受けたことがあるという。先進国の中で規制のゆるさが目立ち、「ステマ天国」ともやゆされた状況を変えようと、国は23年10月の法改正によって「ステマ規制法」を新設し、事業者側に対する締め付けを強化した。ただ、アフィリエイト広告などが掲載された情報も氾濫する中、どこからがステマに該当するのか。消費者庁のガイドブックをもとに、法改正のポイントと注意点を分かりやすく解説する。
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ステマは消費者の合理的な行動を妨げてしまう
(Photo/Shutterstock.com)

ステマとは?インフルエンサーの4割が依頼経験あり

1ページ目を1分でまとめた動画
 「このコメント、企業がお金出してるんじゃないかな」……SNSや口コミなどを見ていて、こう思ったことはないだろうか。

 SNSや口コミサイトの投稿で、一見すると一般の消費者やインフルエンサーなどが自由にコメントしているようでありながら、実際には商品・サービスを製造、販売している事業者が謝礼などを出して第3者に書かせている場合がある。これがステルスマーケティング(ステマ)だ。

 消費者庁が現役インフルエンサー300人にアンケートしたところ、41%が広告主からステマを依頼された経験があるという。さらに、依頼されたインフルエンサーのうち、「すべて依頼を受けた」「一部受けた」との回答が45%に上った。

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インフルエンサーの4割がステマの依頼を受けた経験がある
(出典:消費者庁公表資料)

 もちろん純粋に利用者の感想を述べている場合もあるはずだが、こうした実態があれば、情報の受け手が疑心暗鬼になってしまうのも仕方ないかもしれない。同庁が実施した事業者へのヒアリング結果によると、「広告と明示する場合に比べ、ステマでは売り上げが20%増加するという体感がある」(広告代理店)、「予算が少ない広告主は、広告効果を最大限発揮しようとしてステマを行う可能性がある」(PR会社)との声があったという。

 このように事業者の立場で見れば通常の広告よりも効果が見込めるため、ステマが横行しやすい環境になっている実情があるようだ。ステマが企業間の健全な競争環境をゆがめることのないよう、2023年10月に、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)が改正され、5条3号にネット上でステマ情報を発信する規制が追加された。

10月に改正施行された「景品表示法」とは

 そもそも景品表示法とはどのような法律か、改めて確認しよう。

 景品表示法は、不当な表示や過大な景品類の提供による顧客の誘引を防止するため、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害する恐れのある行為を禁止しているための法律だ。

 商品についてくるオマケなど「景品」に関するルールと、商品のラベルの記載など「表示」に関するルールを組み合わせた立て付けとなっている。今回のステマ規制はこのうち2つ目の、表示のルールに関係している。

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景品表示法の「表示」にはSNSや口コミも含まれる
(出典:消費者庁作成ガイドブック)

 不当な表示は、大きく「優良誤認表示」「有利誤認表示」「その他、誤認される恐れのある表示」に分類される。「優良誤認表示」は、商品やサービスの内容が実際のものより著しく優良であるとするものだ。たとえば、実際にはカシミヤ80%のセーターに「カシミヤ100%」と表示したり、10万km以上走行した中古自動車に「3万km走行」と表示したりするケースが考えられる。

 「有利誤認表示」とはたとえば、「地域最安値」と表示したものの、近隣店舗より割高であったり、「優待旅行を特別5万円で提供」とあるにもかかわらず、通常と同じ価格であったりするケースが当てはまり得る。「その他」は、無果汁の飲料水の名前を「◯◯オレンジ」とすることなどが考えられる。

 法改正で、ステマ規制は上記の「その他」に分類された。事業者の表示であること、一般消費者が事業者の表示であることを分からないこと──といった条件を満たせば、不当表示に該当するとの線引きを明らかにした。

 商品やサービスに関連する表示であれば、あらゆる表示媒体が対象となる。規制されるのは事業者(広告主)だけで、広告・宣伝の依頼を受けて投稿などをするインフルエンサーなどの第3者は、これまで同様に規制対象外となる。違反者に対して課徴金はかからないが、表示の差し止めや再発防止策の策定など措置命令が行われる。 【次ページ】どこからがステマになる?線引きをわかりやすく
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