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暴れん坊経営者のイーロン・マスク氏が2022年10月に買収したX(旧Twitter)の経営がピンチを迎えている。マスク氏の不規則発言などにより一部広告主が出稿を見合わせ、ユーザー数についても激減していると伝えられる。だが、そこは転んでもただでは起きないマスク氏、実は「プランB」があるという。その秘策とは何なのか。
SNSの中でも「Xの利用率」が圧倒的に減少
米メディアがXの不振を伝えるようになって久しい。そうした中、市場調査企業の米Sensor Towerが調べた、Twitter買収直後の2022年11月から2024年2月までのXにおける1日当たりのSNSアクティブユーザー数の
推移によると、若年層に人気のTikTokが9.5%減、Instagramは4.4%減など、すべてのSNSで減少が見られたが、中でもXの減り方は突出しており、22.9%だった(冒頭の図1)。
加えて、別の調査企業である米Edison Researchが3月に
発表した12歳以上の米国総人口におけるXの利用率では、2022年と2023年に27%だったのが、2024年には19%に急減している。米国内の利用人数に直すと、2023年の総数7700万人から2024年の5500万人へと2200万人も
失っており、その減少幅は30%にも上る(図2)。
ユーザー数や利用率の急落の原因について、米メディアでは「買収後にマスク氏が実施した機能追加などの改良で、逆にXが使いにくくなった」「以前のような牧歌的な雰囲気が失われた」「新たに導入されたインプレッション(閲覧数)によるクリエイターへの収益分配が一部アカウントに悪用され、そのせいで本当に重要な投稿が埋もれてしまう」などの理由が取り沙汰されているが推測の域を出ない。
ここで重要なのは、Xの発表と調査企業の推計が大きく食い違うことだ。調査企業が発表したユーザー数や利用率は、あくまでもアンケート形式のサンプル調査による推計に過ぎず、またXの公式数字が誇張であるとする内部からのエビデンスはない。たとえば、世界における2月の1日当たりアクティブユーザー数はSensor Towerの推測で1億7400万人であるのに対し、Xの
発表では2億5000万人と、7600万人もの違いがある。
顧客に「くたばれ」など…広告出稿が激減
しかしXの経営でそれ以上に深刻なのが、広告主離れである。マスク氏によるXの成長計画(次のページで解説します)においては、広告収入に依存した収益分配など「繁栄するクリエイター経済」が柱として構想されており、広告収益の重要性は増している。Xの事情に詳しい関係者によれば、Xの売上高全体に占める広告収入の
割合は2023年12月現在で70~75%であった。
こうした中、Sensor Towerによれば、2022年10月以降にXの米国における広告主上位100社のうち75社がXへの広告の掲出を停止した。2023年11月には「親ナチス関連の投稿の隣にアップルやオラクル、IBMなどの大手企業の広告が表示されている」との活動家団体による告発を受け、多くの企業が「反ユダヤ主義を助長している」と批判されるXへの広告出稿を見合わせた。
さらに、広告主との関係悪化は厳に回避すべきであるにもかかわらず、マスク氏は付き合いを停止したディズニーなどの広告主に対して「くたばれ(Go fuck yourself)」と
発言するなど、自社の立場をさらに悪化させた。これらが影響して、2023年のXにおける
広告収入はおよそ25億ドル(約3,750億円)と、目標の30億ドル(約4,500億円)に遠く届かなかったとされる。
さすがのマスク氏も、この結果を重く受け止めたようだ。早々とユダヤ系団体との関係修復に乗り出し、2024年1月にはユダヤ人強制収容や虐殺が行われたポーランドのアウシュビッツを
訪問して犠牲者を悼む気持ちを表明するなど積極的に動いている。
同時に、主に10施策ある収益改善策を推進。中でも注目なのはプランBに据えた施策だ。
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