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コンサルティング大手のアクセンチュアが、AI関連投資の一環として、オンライン学習プラットフォーム「Udacity」の買収を発表した。生成AIの進展を見据えて、AI分野の人材育成に力を入れる方針だ。買収金額は明らかにされていないが、同時に発表した「LearnVantage」と呼ばれる学習プラットフォームの構築に3年で10億ドルを投じると表明している。買収による同社の狙いと今後の展望を追ってみたい。
アクセンチュアが学習プラットフォームUdacityを買収
グローバルコンサルティング大手のアクセンチュアが、オンライン学習プラットフォームのUdacityを買収すると2024年3月5日に発表した。買収金額は明らかにされていないものの、アクセンチュアは同時に、LearnVantageと呼ばれる技術学習プラットフォームの構築に、今後3年間で10億ドルを投じる計画を公表している。
Udacityは2011年に設立されたエドテック企業で、オンライン学習と専門家による指導のメリットを組み合わせた学習アプローチに定評がある。買収後は230人以上の従業員がアクセンチュアに加わり、LearnVantage事業の一端を担うことになる。
アクセンチュアのLearnVantageグローバルリードのキショール・ダーグ氏は、「生成AIの台頭は、仕事のあり方を変える最も変革的な変化の1つ。デジタルコアを構築し企業を再構築する動きが活発化する中で、クラウド、データ、AI分野の学習・スキルアップするニーズが高まっている」と
語っている。
Udacityは設立当初、コンシューマに焦点を当てた学習コンテンツを提供していたが、後にAIとテクノロジーによるキャリア開発に特化したエンタープライズ向けの学習プラットフォームとして存在感を高めてきた。
1400人以上の専門家ネットワークと産業リーダーらとの共同で作成された独自コンテンツライブラリを有し、英語、アラビア語、韓国語、スペイン語など複数言語で、これまでに195カ国2100万人以上の登録者にサービスを提供してきた。
Udacityはかつてインドで1億ドルでの買収交渉も
Udacityの学習プラットフォームで人気が高いのは、データエンジニアリング、ビジネスアナリティクス、AI、データサイエンス、プロダクトマネジメントなどのコースだ。主に、個人、政府、企業向けの事業を展開しているが、企業向け事業が
最大の収益源となっている。
Udacityは2015年、ドイツのベルテルスマンやスコットランドのベイリー・ギフォードなどから1億500万ドルを調達。このときの評価額は10億ドルだった。Tech Crunchによると、Udacityの累計調達額は
3億ドルに上り、シリコンバレーの著名なベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツも出資しているという。
創業者のセバスチャン・スラン氏は、グーグルの研究開発部門であるGoogle Xで、自動運転車やグーグルグラスのプロジェクトに取り組んだ人物としても知られている。
買収の発表に先立つ2024年1月には、インドのエドテック企業Upgradが、Udacityの買収に向けた
交渉を進めていると報じられていた。買収金額は1億ドルと報じられ、Upgradは投資家から最大1億ドルを調達する協議を行っていたという。Upgradの共同創業者であるロニー・スクリューバラ氏も、自身の個人資本を投じる計画だったとのこと。
Upgradによる買収金額は当初1億ドルと予想されていたが、最終的には8,000万ドルでの買収交渉になったといわれている。Upgradは2023年度の業績は、前年比96%増の売上高を記録する一方、損失額も67%拡大し114億2,000万ルピー(1億3,700万ドル)に達していた。
最終的にアクセンチュアがUdacityを買収することになったが、上記Upgrad関連の報道から買収額は8,000万~1億ドルになったのではないかと推測される。ただし、アクセンチュアは買収金額を公表していないため、詳細は不明である。
【次ページ】アクセンチュアの生成AIに関する最近の買収とその狙い
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