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- 2023/04/03 更新
Anthropic(アンソロピック)とはどんな企業か?なぜAWSやグーグルが出資しまくるのか
激化する生成AI市場で大躍進するAnthropicとは
米テック業界の裏事情に詳しいThe Informationは10月末、生成AI市場で圧倒的人気を誇るOpenAIが法人営業で苦戦しているとの情報を報じた。競合企業から、より安価な選択肢が登場しているのが、主な理由とされる。OpenAIに対抗する競合企業はいくつか存在するが、その筆頭となるのがAnthropic(アンソロピック)だ。
Anthropicとは、OpenAIに所属していた複数の人物らが、同社のやり方に異を唱え、2021年に立ち上げた生成AIサービスを手がけるスタートアップ企業だ。同社の「Claude Instant」や「Claude2」はOpenAIに比べて大幅に安い価格を設定しており、すでにさまざまな大手企業との提携を増やしている。
一部の企業ではそもそも、ChatGPTなどのコンシューマー向け生成AIツールの利用は禁止されているが、そのような企業であってもAPIを通じて、生成AIアプリケーションを開発するケースは少なくない。
セコイアキャピタルの2023年6月時点の調査によると、調査対象となった企業のうち大規模言語モデルのAPIを使用しているという回答は94%に上り、このうちOpenAIのAPIを利用しているという回答は91%を占めていた。
一方、Anthropicを利用している割合が15%に増加したとも報告されており、この時点でAnthropicの人気が高まりつつあったことが示されている。
ほとんどの企業は、APIを利用する際、OpenAIだけでなく、AnthropicやCohere、またHugging Faceなど複数のモデルを利用しつつ、アウトプット品質とコストを分析し、そのバランスから最終的にどのモデルを利用するのかを決めている。
OpenAIのフラッグシップモデルGPT-4は、現在のところ、他のモデルに比べ高いパフォーマンスを実現できるが、API利用コストは非常に高く、費用対効果の観点から、他のモデルを選ぶ企業が増えていると推測される。
Anthropicが「魅力的な選択肢」になる理由
ここで魅力的な選択肢となるのが、AnthropicのClaudeシリーズだ。OpenAIのGPT-4に近いパフォーマンスを発揮しつつ、コストを大幅に抑えることができる。また、OpenAIのモデルでは対応できない大量の文章を一度に処理することができ、そのようなニーズを持つ企業での利用が増えていると予想される。
Anthropicが注目される理由の1つとして、同社の創業経緯が挙げられる。
Anthropicを立ち上げたのは、OpenAIの元幹部ら。OpenAIのAI開発方針に異を唱え、複数の幹部らが同社を退職し、Anthropicを創業したのだ。
メディア露出が多いのは、Anthropicの共同創業者でCEOを務めるダリオ・アモデイ氏。そして、アモデイ氏の妹であり同社プレジデントを務める、ダニエラ・アモデイ氏だ。
元OpenAIで、Anthropicの創業に携わった人物としては、トム・ブラウン氏、ジャック・クラーク氏、サム・マカンドリッシュ氏、ジェアド・カプラン氏などがいる。
ダリオ・アモデイ氏は、カリフォルニア工科大学、スタンフォード大学で物理学を専攻した後、プリンストン大学で生物物理学の博士号を取得。その後、いくつかの職を経て、2015年にグーグルのAI開発チームであるグーグルブレインにディープラーニング研究者として参加、そして2016年7月にOpenAIに加わった。OpenAIが創業されたのが2015年12月であることを考慮すると、かなり早い段階で同社に参加した初期メンバーの1人となる。
OpenAIでは、まずAIセーフティのチームリードを務め、その後リサーチディレクターに昇格、2019年12月にはリサーチ部門のヴァイスプレジデントとなり、GPT-2やGPT-3の開発プロジェクトをけん引した。
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