- 2006/08/10 掲載
【CIOインタビュー】 サン・マイクロシステムズ セキュリティプロジェクト統括責任者 中村彰二朗氏
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サン・マイクロシステムズ 中村彰二朗氏 |
中村 彰二朗 (Shojiro Nakamura)
サン・マイクロシステムズ
政策推進営業開発本部 本部長
兼)セキュリティプロジェクト統括責任者
金沢工業大学 客員教授
1963年生まれ 宮城県出身。
1986年よりUNIX上でのアプリケーション開発に従事し、国産ERPパッケージベン ダー、EC業務パッケージベンダーの経営に関わる。
2000年より、開発生産性向上方法論や再利用コンポーネントのテーマに注力し、EAモデルに即した、J2EEフレームワーク開発/製品化を行う。
2002年6月、サン・マイクロシステムズへ入社し、e-Japanプロジェクトを担当、地方ITベンダーの高度人材育成/地方自治体アプリケーションシェアモデルを実現。
日本でのオープンソース活用の方向性を示す為の活動の一環として、2004年、金沢工業大学客員教授に着任、現在に至る。
その他
ASPインダストリー・コンソーシアム・ジャパン 理事
OSS推進フォーラム ステアリングコミッティメンバー
オープンスタンダード化支援コンソーシアム 理事
e-Japanオープンスタンダードコンソーシアム 代表幹事
等
クローズドな行政システムをオープンに
2003年頃から、サン・マイクロシステムズのe-Japan プロジェクト担当が、これまで日本の行政が築いてきたシステムにやたらめったらかみついているという話を、IT業界のあちこちで聞くようになった。ご存知のとおり、サンはOSの「Solaris」や高性能CPUやサーバーなどを製造/販売する会社で、Javaテクノロジーなど最先端のIT技術で世界の産業を牽引してきている。ビジョンとそれを実現するための技術オリエンテッドな会社ゆえ、日本の電子政府が持つブラックボックスのようなシステムと、それによるベンダーロックインの弊習、旧世代の技術者の再教育の必要性など、さまざまな問題点を指摘してきた。その人物が、政策推進営業開発本部 本部長兼セキュリティプロジェクト統括責任者の中村彰二朗だ。
政府系の情報システムの多くは、レガシーといわれる形でで構築されてきた。現在、オープン系のシステムへ移行しつつあるが、その多くが、旧システムを担当していた特定の大手ベンダーにより行われている。この囲い込みが、技術力を有するベンチャー企業などの新規参入を難しくし、システムとして柔軟性が乏しいものになるという悪循環を招いている。常に最新の技術を取り込むためには、オープンスタンダード(技術標準)に基づく調達モデルを整備/採用していくべきであり、そのためには情報システムの調達側と提供側双方の技術者のスキルを向上させていくことが不可欠であると、ことあるごとに中村は主張してきた。
ベンチャーに所属しながらIT業界改革実現の限界を感じ、サンへ
中村の経歴を少し紹介したい。中村は学生時代に起業し、学習塾を経営していた。しかし、26歳のときに事業に失敗し、多額の借金を背負うことになる。その後、仙台に本社があるIT企業に入社、リーダーになった。そこでの仕事は富士通の孫請けだったが、コンピューターと出会うきっかけとなる。後に、オープン系で成功したことで東京支社ができ、20代で東京支店長(役員)に抜擢される。
32歳のときに、また中村の起業熱が再燃する。電子商取引時代の到来を予測し、E-コマースパッケージを開発/販売するベンチャー企業の立ち上げに創業メンバーとして参加し、そこで8年間過ごす。しかし、ベンチャーにいることで多くの経験はできたものの、日本のクローズドなIT業界を改革するという点では限界も感じていた。そのころ、サンがe-Japanプロジェクトを立ち上げることを耳にし、e-Japan戦略が日本のIT業界再編の最後のチャンスではと思い、サンに入社した。中村には、問題意識を共有できるメンバーとともに、そのための道は必ずや切り開いていけるという自負がある。しかし、なぜ、サンを選んだのだろうか。
「サンは、ビジョン駆動型企業であり、企業の存在意義が明確。その点ではベンチャー企業でも同じ志はありますが、日本ではネットバブル崩壊以降、IT業界に対しての影響力が少ない。影響範囲についてもワールドワイドで考えると、日本はかなり特殊な市場なのです。
たとえば、サン社内のミーティングで世界の政府系を担当するリーダーがワシントンに集まり、ミーティングを行うことがあります。そこで感じるのは、日本だけが特殊で、戦略も日本用にアレンジしなければならないということです。日本は国内の売上げが中心の大手ITベンダーが複数あり、外資系ベンダーも複数存在するという、大手がひしめき合う産業構造になっていて、ITベンチャーが育つ環境にない。しかし、ほかの先進国は、世界で通用しているグローバルカンパニーとローカル向けの中小企業やベンチャー企業が存在している。『日本のIT環境をどう変えるか』となったときには、明確なテーマ設定と裏付けのある技術が必要です。サンとその考えに賛同してくれる複数のパートナーとならば、その日本を変えられるのではないかと思いました。」
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