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法律、金融、マーケティング分野での
活用が進むジェネレーティブAI(生成AI)だが、GAFAMの最新動向からは「コーディング」分野が次の競争領域になりつつあることが見えてくる。各社、コーディングに特化した生成AIへの投資・開発を加速しているからだ。マイクロソフト、グーグル、メタ、アマゾンの動向を見ていこう。
マイクロソフト、コード生成AIスタートアップに投資
2023年5月10日、マイクロソフトがコーディング経験のない人でもアプリ開発できるAIプラットフォームを運営するBuilder.aiに資金を投じることが
明らかになった。
Builder.aiは、2017年に設立されたロンドン拠点のAIスタートアップ。同社が開発するAIプラットフォームは、「ノーコード」や「ローコード」と呼ばれる分野に属するもので、アーティストやデザイナーなど、コーディングを生業としない人々が、自身のプロダクトを販売するアプリやウェブサイトを開発・運営できるように設計されている。
たとえば、アプリ開発では、Airbnbやアマゾンなど広く利用されるアプリのテンプレートが用意されており、ユーザーはテンプレートを選び、機能を追加・削除してカスタマイズ、iOSかAndroid、またはWebベースなのかを選択し、開発のタイムラインを設定するだけ、ほとんどのアプリを開発できる。
マイクロソフトがBuilder.aiにどれほどの資金を投じたのかは明らかにされていないが、
Crunchbaseのデータによると、Builder.aiはこれまでに5回のラウンドを通じて計1億9,500万ドルを調達していると言われている。
今回の戦略提携により、マイクロソフトはBuilder.aiのAIアシスタント「Natasha」をTeamsのビデオおよびチャットソフトウェアに統合し、ユーザーがプラットフォーム内でビジネスアプリを簡単に開発できる仕組みを構築する計画という。
またこの提携により、Builder.aiとその顧客は、マイクロソフトのAzureクラウドツールスイートにアクセスできるようになり、OpenAIが提供する一連のAIサービスへのアクセスも付与されるとのこと。
マイクロソフトはすでに同社傘下のGitHubと連携して、独自のコード生成AIツール「GitHub Copilot」を提供しているが、Builder.aiとの提携により、この分野の専門知識をさらに深める目論見があると見られている。
グーグル、Android開発とクラウド向けにAIツール
上記マイクロソフトとBuilder.aiの戦略提携報道があった同日、グーグルは同社最大のイベント「Google I/O」で、Android開発者向けのAIコーディングボット「Studio Bot」をローンチする計画を
発表した。
Studio Botは、コード生成、エラー修正のほか、Android開発に関する質問に答えることができる生成AIだ。
グーグルによると、Studio Botは、同社の最新大規模言語モデル
PaLM2から派生したコーディング特化型ファウンデーションモデルであるCodey上で構築されたAIツールで、プログラミング言語であるKotlinとJavaをサポート、Android Studioのツールバーに直接統合されるという。ボットは質問に答えるだけでなく、デバッグなどを実行することも可能だ。
現時点でボットは「非常に初期の段階」にあり、パフォーマンス向上に向け、トレーニングが継続されているという。現在、利用できるのは、米国拠点の開発者のみで、グローバルローンチの時期については明らかにされていない。
ボットへの質問とその回答ダイアログはグーグルに送信されるが、ソースコードを送信する必要はないとのこと。
コード生成分野においてグーグルが狙うのは、Android開発者だけではない。この翌日となる5月11日、同社はグーグルクラウドユーザー向けのAIツール「
Duet AI for Google Cloud」を発表した。
このAIツールもStudio Botと同様に、グーグルクラウドを利用するアプリ開発者やデータエンジニア向けに、コード生成やチャット支援を行うことが可能という。
リアルタイムの入力に対し、クラウドサービス利用に関する推奨事項を提示したり、関数・コードブロックの生成、脆弱性やコードエラーの検知、修正案の提示なども可能となる。サポートされる言語は、Go、Java、JavaScript、Python、SQLなど。
【次ページ】メタ、コード生成AI「CodeCompose」を開発
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