- 2006/06/19 掲載
【連載】ITと企業戦略の関係を考える[最終回/全5回](2/3)

本当に利用方法は模倣できるのか
確かに、カーが指摘するようにERP、SCM、CRMなどの分野のビジネス用のソフトウェアは、ベストプラクティスを取り込む形でバージョン・アップが行われている。したがって、ITの優れた利用方法は、ITベンダーを介してどんな企業でも入手できるようになるだろう。
しかし、利用方法がソフトウェアに組み込まれ、誰でも利用方法を含めてITを簡単に入手できるようになっても、それをビジネス上有効に活用できるかどうかは、また別の問題のように思える。先進ユーザーの斬新なIT利用方法をコピーすることはできても、それをビジネスや経営に有効に利用できないことも十分に考えられる。(それは、ちょうどトヨタ以外のメーカーがトヨタ生産方式を導入しても十分な効果が見られないケースが数多くあるのと同じである)
カリフォルニア大学バークレー校のハル・バリアンは「ITがコモディティ化し、もはや競争優位をもたらさないというニコラス・カー氏の主張は正しい。とはいえ、ITの効果的な活用方法が広く理解されているかと問えば、依然スキルが不足しているといえる。(中略)ITではなく、その効果的な使い方を知っている人たちが、競争優位をもたらすのである」と主張する。
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