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- 2023/03/21 掲載
ホリエモンに聞く「宇宙ビジネス民主化」の衝撃、ニコ動やANYCOLOR誕生からわかること
前編はこちら(この記事は後編です)
「インターネットの民主化」で起こったこと
「民主化ができない領域は産業としてスケールしない」──堀江氏はこのように断言する。技術が民主化して、用途が広がるとどのようなことが起きるのだろうか。堀江氏は「2023年の宇宙ビジネス」を「1996年のインターネット黎明期」に例えつつ、自身でライブドアの前身、オン・ザ・エッヂを創業した1996年の創業当時をこう振り返る。「僕がITベンチャーを立ち上げられたのは、BSP(ボードサポートパッケージ)やオープンソースのOSであるLinuxがあったからです。要はPCでインターネットサーバが作れたから。しかもライセンスフリーで、OSツール類もタダ。PCを買ってくるか、あるいは組み立てれば、サーバを構築できました。それまでのサーバ1台100万円はくだらないというような状況では、Webサービスを立ち上げようと思っても、採算が合わなかった。Linuxが出てきて、心臓部のソフトウェア(カーネル)がオープンソース化され、みんなタダで使えるようになると、急速にインターネットの民主化が起こったんです」
インターネットが民主化すると、企業が次々とIT事業に参入した。
「インターネットの民主化が達成されたので、みんなこぞってIT事業に参入しました。GoogleもAmazonもLinuxがなかったら立ち上がらなかった会社だと思います」
宇宙の民主化の鍵は「ローンチ・ヴィークル」
Linuxはインターネットの民主化において中心的な役割を果たし、今となってはなくてはならないITツールを数多く生み出した。そして、「宇宙ビジネスにおけるLinuxは、衛星を地上から宇宙に輸送するローンチ・ヴィークルだ」と堀江氏は考えている。人工衛星を開発しても、宇宙空間に打ち上げることができなければ、技術の実証も、利用もできない。小型ロケットや相乗り打ち上げ、再使用ロケットの登場により、宇宙ビジネスのインフラとも言える輸送事業は変わりつつある。
「ローンチ・ヴィークルは今、民主化途上です。少しずつ、安い選択肢が増えてきました。もう一桁、二桁、打ち上げの頻度が増えると、さらに変わるでしょう」
衛星の打ち上げにかかるコストは下がり、打ち上げ頻度も増えつつある。SpaceXはスターリンク衛星3000機以上によるコンステレーションの構築を実現させた。従来の通信衛星コンステレーションによるサービスは、提供価格が高い上に、通信の遅延や圏外エリアがあったために広くは普及しなかった。
しかし、スターリンクは全世界でアクセス可能な高速インターネットを提供し、国内でもユーザーを獲得し始めている。このスターリンクについて堀江氏は、「初めて通信衛星コンステレーションビジネスが大きく成功した事例と認識している」と話す一方で、「大したアイデアではない」という。
「通信衛星コンステレーションビジネスは誰でも思いつきます。しかしロケットの打ち上げ頻度が少な過ぎて大規模なコンステレーションの構築をできなかったことが、できるような時代になったのです」
「宇宙の民主化」に近づいていることは間違いないのだ。 【次ページ】「宇宙ビジネスは自分で」、「ニコ動とANYCOLOR」からわかること
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