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  • 2023/03/16 掲載

【単独】「100億あったら全張り」、堀江貴文氏が宇宙ビジネスに全力投球するワケ

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「日本が競争力を持っている分野はほぼない。数少ない1つが宇宙です」「こんなに条件が揃っている成長産業はなかなかない」。宇宙産業についてこう語るのは実業家のホリエモンこと堀江貴文氏だ。創設したベンチャー、インターステラテクノロジズ(以下IST)は、小型ロケットを開発している。なぜ日本には宇宙産業のポテンシャルがあると言えるのか。宇宙ビジネスはどんな発展を遂げていくのかをISTの事業戦略説明会で堀江氏に直撃した。
執筆:井上 榛香
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「100億あったら全部張る」、堀江貴文氏が宇宙ビジネスに注力するワケ
(写真:井上榛香)

なぜ日本は宇宙ビジネスをする上で「有利」なのか

 「日本が世界に対して競争力を持っている分野がほぼないので、可能性のある数少ない1つが宇宙です。日本の場合は、太平洋にロケットを打ち上げ放題なので、地の利を生かせます」──。堀江氏は、日本が宇宙開発に力を注ぐべき理由の1つに「地の利」を挙げる。

 搭載する衛星にもよるが、ロケットは地球の自転速度を有効利用できるよう、東向きに打ち上げられることが多い。そのため、ロケットを打ち上げる射場は東側が開けている場所である必要がある。

 たとえば、陸続きの欧州は東側に大きな海を持たないため、欧州宇宙機関は南米に位置するフランス領ギアナまでロケットを輸送して打ち上げている。一方、島国で東側に太平洋が広がる日本にはロケットの打ち上げに適した射場が複数あり、大きなメリットといえる。

 堀江氏は続けて、自動車産業で発展した技術の蓄積を生かせることを挙げた。

「成長産業として注目されているバイオ分野とは違って、技術の蓄積とサプライチェーンが主に自動車産業によって作られています。サプライヤーが全部国内で揃うのです」

 国内の航空機産業は、戦後航空機の研究や製造を禁止されていたため、欧米に遅れをとった。しかし、航空機産業で培った先端技術を持った企業や人材が参入した自動車産業は、一大産業へと発展を遂げた。自動車産業から生まれたサプライチェーンはロケットの開発や製造にも生かされている。

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国内宇宙輸送の重要性 | 増える打上げ需要を国内へ
(出典:インターステラテクノロジズ)

軌道投入ロケット開発の難易度は?

 このように、日本には地の利やサプライチェーンといった強みがありながらも、ロケット事業に参入する企業は少ない。実は、民間単独でゼロからロケットを開発する企業はISTのみというのが現状だ。その理由は、開発の難易度が高いからだ。堀江氏も「衛星の軌道投入が、非常に大変だと我々が身をもって体験しています」と語った。

 ISTのロケット開発は、2005年に結成された前身「なつのロケット団」から始まった。宇宙機のエンジニアや科学ジャーナリスト、作家をはじめとする全国の宇宙好きが集まり、エンジンの燃焼実験やロケットの打ち上げ実験を行った。そして2013年にISTが事業を開始し、本格的なロケット開発をスタートさせた。

 2017年には観測ロケットMOMO初号機の打ち上げに漕ぎ着けた。この観測ロケットとは、観測機器を搭載して宇宙の微小重力環境を利用した科学実験専用のロケットだ。2019年5月に打ち上げた3号機で初めて成功し、国内の民間企業が単独で開発したロケットとしては初の宇宙空間到達という快挙を遂げた。しかし、2019年7月に打ち上げた4号機と2020年1月の5号機は宇宙空間には到達しなかった。

 ISTはロケットの全面改良に取り組み、2021年7月に7号機と6号機、2機連続での打ち上げを成功させた。(※打ち上げ順は7号機が先となった)6号機の打ち上げ後の記者会見で堀江氏は「『MOMO』をいつでも打ち上げられるような状態を維持しながら、『ZERO(後述)』を開発できる体制が整った」と説明している。

 そして、現在2024年度の打ち上げを目指して開発が進められているのが、超小型衛星を宇宙に運び、軌道に投入するロケット「ZERO」。MOMOを構成する部品の数は約1万点に対し、ZEROの部品は約10万点。この数字からも、ZEROの開発難易度の高さがうかがえる。

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「ZERO」 超小型人工衛星 打上げロケット
(出典:インターステラテクノロジズ)

 さらに、1月24日にはISTが大型ロケット「DECA」の開発に着手したことも発表された。「既存の国内大型ロケットの10分の1の打ち上げコスト」を目指すとし、地球周回軌道上で大量の衛星を統合して運用する「衛星コンステレーション」の打ち上げも担っていきたい考えだ。実用化は2030年代を見込んでいるという。

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再使用による低価格化
(出典:インターステラテクノロジズ)
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