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  • 2023/01/05 掲載

警察・防衛省も“人材不足”だが…「ホワイトハッカー求人」に潜むリスク

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警察庁には「サイバーフォース」と「サイバー特別捜査隊」が稼働している。防衛省は「自衛隊サイバー防衛隊」を発足させ、陸海空自衛隊のセキュリティ防御態勢の統合強化している。これらの取り組みを考える上で避けて通れないのが、サイバーセキュリティ人材の教育、確保、採用問題だ。セキュリティなど特殊分野では突出したタレントが求められるので、人材確保には柔軟な教育、採用制度が重要とされる。だが、当然ながら課題もある。
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警察・防衛省の取り組みからサイバーセキュリティ人材のスキルについて考える
(Photo/Getty Images)

警察や自衛隊のサイバーセキュリティ関連組織

 警察庁の「サイバーフォース」は、道府県など各管轄地組織のサイバーセキュリティ対策、攻撃情報や対策情報他、組織間の情報共有および連携を担う。マルウェアの分析や解析も行う。CSIRT(インシデントに対処する組織)でいう早期警戒や情報連携、共有、マルウェア解析の枠組みに相当する。

 サイバーフォースは各方面(府県)情報通信部、管区警察局と階層的に統括され警察庁にサイバーフォースセンターが設置されている。センターはSOC(Security Operation Center:ログ監視などで攻撃の早期発見を担当する)の機能も持ち、センサー他によるネットワーク監視も行っている。

 「サイバー特別捜査隊」は、重大サイバー犯罪・事案に対処するための捜査機関だ。2022年4月に新設されたサイバー警察局の元、関東管区警察局に設置された。海外警察機関とも連携し、国際共同捜査への参画も企図している。各警察署にはサイバー課やサイバー犯罪に対処する枠組みを持っているが、広域かつ重大な事案や国際事案について対応できる枠組みとなる。

 「自衛隊サイバー防衛隊」は、防衛省・自衛隊の防衛情報通信基盤(DII)のセキュリティ対策、管理・運用を行う。DIIは作戦指揮や防衛省業務専用の通信基盤だ。陸海空各自衛隊はDIIおよびそれぞれの通信基盤ネットワークの管理部隊を持っている。

 陸上自衛隊は「システム防護隊」、海上自衛隊は「保全監査隊」、航空自衛隊は「システム監査隊」が、それぞれのネットワーク管理を行っている。サイバー防御隊は全体を統括する自衛隊式通信システム隊の下に置かれる。防衛省・自衛隊のネットワークの監視、脅威情報の収集、各隊への技術支援や訓練、サイバー攻撃を受けた場合のインシデント対応や調査分析などが主な任務となっている。

ホワイトハッカーは育成と募集の両輪で

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米軍ではドローンのオペレーターにプロゲーマーをスカウトすることもあるという
(Photo/Getty Images)

 以上のようなネットワーク管理やセキュリティ管理を行う部署のスタッフは、一般に、警察庁の技術職、自衛隊の技官などで編成される。警察庁なら情報通信局が行う技術職求人や採用での人員確保が基本となる。いわゆる警察学校の中には、付属警察情報通信学校のような職員養成の仕組みがある。自衛隊も同様で、各自衛隊が持つ通信学校に特別な科を設けたり、隊員養成、教育を行っている。

 警察組織や軍隊がサイバーセキュリティ要員を確保する場合、やはり外部の力や経験者、エキスパートの採用も欠かせない。日本も上記のように育成、教育体制を整えつつあるが、人材育成は時間がかかる。

 そのため、公募または一般向けの求人が行われることも少なくない。経験者や資格保有者などを対象に、警察庁、防衛省他のサイバー関連の求人を見たことがある人もいるだろう。メディアなどでは「ホワイトハッカー募集」のような見出しでニュースになることもある。

 また、米空軍は世界最大級のサイバーセキュリティカンファレンス「BlackHat USA」で論文発表を行うだけでなく、カンファレンスの中で「ハッカー」をスカウトしたり、企業ブースコーナーに採用窓口を設けたこともある。ハッカー以外でも、たとえば米軍はドローンのオペレーターとしてプロゲーマーを採用することもある。

【次ページ】なぜセキュリティ人材が集まらないか
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