友永 慎哉
製造業向け基幹系システムの開発を経験後、企業ITの編集、ライター業に従事。ファイナンス、サプライチェーンなど、企業経営の知識を軸にした執筆に強みを持つ。インダストリー4.0など新たな技術による製造業の世界的な変革や、Systems of Records(SoR)からSystems of Engagement(SoE)への移行、情報システムのクラウドシフトなどに注目する。GAFAなど巨大IT企業が金融、流通小売り、サービスといった既存の枠組みを塗り替えるなど、テクノロジーが主導する産業の変化について情報を収集・発信している。
Webやモバイルアプリケーションでのユーザー体験(UX)がビジネスの結果を大きく左右するようになった。アマゾンでは、Webサイトの表示が1秒早くなれば、売り上げが1割伸びるという。一方で、クラウドの登場でシステムは複雑さを増しており、システムに何か問題があった場合でも把握しづらくなっている。こうした課題を解決する上で「アプリケーションパフォーマンス監視(Application Performance Monitoring :APM)」や「オブザーバビリティ(可観測性)」に注目が集まっている。ここでは、APMやオブザーバビリティを基礎から解説するとともに、Dynatrace、Datadog、New Relicなどの業界の主要プレイヤー、OpenTelemetryなどのオープンソースソフトウェアを紹介する。
製造業はじめ、BtoB製品・サービスでは顧客のニーズに合わせてきめ細かな見積もりが求められる。しかし、多くの製品・サービスはますます複雑な構成になってきており、営業が見積書を用意するのも一苦労だ。こうした中、Configure(部品構成)、Price(価格)、Quote(見積書)の頭文字からとったCPQアプリケーションが、営業活動を効率化・高速化するための解決策として、着実に市場を拡大している。ガートナーが2022年11月に公開した資料では、2021年のCPQアプリケーションスイート市場は前年比14.1%成長し、推定で15億2,000万ドルに達した。この記事では、CPQアプリケーションの役割が高まっていることの背景と導入メリットと課題、主要なソリューションベンダー、ユーザー事例についても掘り下げる。
米マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは1月18日、世界的なニュースとなった1万人の人員削減を明言した従業員宛てのメモの最後に、次のように記した。「2023年の始まりという時期を考えると、業界にとってもマイクロソフトにとってもショータイムです」。人員削減の理由を、コスト構造を収益と顧客の需要に合わせるためだと語る。一方、1週間前の1月11日には、2022年7月1日の吉田仁志前社長の退任以来、長らく空席だった日本マイクロソフトの社長に、戦略コンサルのボストン コンサルティング グループ(BCG)などで要職を歴任してきた津坂美樹氏が就任すると発表した。米IT業界に訪れている構造転換の兆しと日本マイクロソフトの役員人事は一体と見る必要がある。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する中で、最も具体的な取り組みがアプリケーション開発だろう。先駆けとなったUberやAirbnbなどではアプリケーションそのものが「革新」だからだ。こうしたDXアプリケーションの特徴の1つがアジャイル開発によるものであることだ。そして、それを実現する手段として開発と運用を一体として考えるDevOpsが普及。そこからさらにそのためのツールとして、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)が注目を集めている。ここでは、自動化の考え方を取り入れて、リリース頻度を高めるCI/CDについて、基礎から主要ツール、活用事例まで、わかりやすく解説する。
企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む中で、人材が成否の鍵を握ると言われている。経済産業省が公表した「DXレポート2」でも、政府の政策の方向性としてDX人材の確保を挙げ「専門性を評価する仕組みや、リカレント学習の仕組みを導入すべき」と指摘している。こうした取り組みを実践するために、今後は人事管理や給与、福利厚生などHRM(Human Resource Management)やHCM(Human Capital Management)といったシステムの重要が増すだろう。そこで今回はHRMとHCMに焦点を当て、日本企業の人材管理システムの現状と国内外のシステム動向について紹介する。