- 2024/05/31 掲載
都区部コアCPI、5月は+1.9% サービス価格の下振れに警戒感も
Takahiko Wada
[東京 31日 ロイター] - 総務省が31日に発表した5月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は106.7と、前年同月比1.9%上昇した。再生可能エネルギー発電促進賦課金の引き上げで電気代が大幅に上昇し、コアCPIの伸び率は4月の1.6%を上回った。ただ、2カ月連続で2%を下回った。
サービス価格は0.7%上昇と前月を下回った。電気代などの上昇が家計を圧迫し、サービス価格が下振れるとの懸念がエコノミストから出ている。
コアCPIはロイターがまとめた民間予測(同1.9%上昇)に一致した。
エネルギー価格は5.9%上昇で、前月の2.9%下落から上昇に転じた。電気代が13.1%上昇と2023年1月以来のプラス転換。都市ガス代は3.9%下落、燃料価格の上昇で下落率が縮小した。
家庭用耐久財は4.1%上昇で、前月の3.8%下落から上昇に転じた。ルームエアコンが11.3%上昇したことが要因。
生鮮食品を除く食料は3.2%上昇で伸び率は前月と変わらず。4月にかけて、9カ月連続で上昇率が鈍化していた。
一方、宿泊料は14.7%上昇で、伸び率は前月の18.8%を下回った。昨年は全国旅行支援の適用日数が4月より5月の方が少なく、5月の宿泊料が高めに出ていたことの反動が出た。
コア対象522品目のうち、上昇は359品目、下落は99品目、変わらずは63品目、非調査対象は1品目。
<サービス価格、実態はさらに弱いとの分析>
5月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は1.7%上昇で、9カ月連続で伸び率が縮小。22年9月以来の低い伸び率となった。都の高校授業料の実質無償化の影響で4月に大幅に伸び率が縮小したことが尾を引いている。
サービス価格は0.7%上昇に減速。こちらも高校授業料の無償化の影響で4月に0.8%上昇と水準を大きく引き下げた。
UBS証券の栗原剛・次席エコノミストによれば、宿泊費や高等教育など政策の影響が大きい特殊品目などを除いたUBS独自の基調的なサービスインフレ指標では0.5%しか上昇していない。
栗原氏はサービス価格のダウンサイドリスクが大きくなってきていると指摘する。賃金上昇率は春闘の結果を受けて4月から加速してくると見込まれ、人件費を価格に転嫁する動きがサービス価格で今後確認されていくと予想しているものの「政府の激変緩和対策などの終了でエネルギー価格は引き続き上昇が見込まれるため、特に実質賃金改善などによる需要面でのサービスインフレの押し上げが想定より弱くなってしまっているのではないか」と指摘する。
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