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デジタル庁が発足して2022年9月1日で1年を迎えた。デジタル庁は、官民を問わず人材を集めて予算と権限を確保することにより、デジタル化を推し進めているとアピールする。デジタル庁が「1年間の成果」と認識していることは何か。設立1年の活動報告を基に振り返る。
デジタル庁は2022年9月1日で「設立1周年」
デジタル庁は、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」をミッションに、公共サービスの提供とインフラ整備を目標にする。また官民の境目のない新しい組織を目指し、組織の改革を進めているという。
デジタル庁では準備室の立ち上げからこの1年間の取り組みを、以下のようにまとめている。
2022年6月7日にデジタル庁が策定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、目指すべき社会の実現に向けて、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策を明記する。この計画は各府省庁が構造改革や個別の施策に取り組み、それを世界に発信・提言する際の羅針盤として位置付けられている。
デジタル庁の注力領域「3つの柱」
デジタル庁では目指すデジタル社会の実現に向けた「全体戦略」の注力領域に、以下の3つを「柱」として挙げている。
「生活者、事業者、職員にやさしい公共サービスの提供」
「デジタル基盤の整備による成長戦略の推進」
「安全安心で強靱なデジタル基盤の実現」
以降の章で、「3つの柱」の注力領域の取り組みについて、具体的に解説していく。
生活者、事業者、職員にやさしい公共サービスの提供
<マイナンバーカードの普及>
社会情勢が大きく変化し生活様式が多様化する中、必要なサービスも多様化している。こういった状況の中、個々人に応じたきめ細かなサービスを受けられるよう、個人の公的な認証の必要性が高まっている。
デジタル庁では、1人ひとりに最適な行政サービスや民間サービスを受けられる仕組みをつくるため、マイナンバーカードの整備を進めている。マイナンバーカードは、人口約1億2665万人のうち、この1年間で新たに約1059万人がマイナンバーを発行し、所有率は45.8%まで拡大した。
マイナンバーカードは健康保険証としても利用できるようになり、健康保険証利用申し込み数は1833万人に達したほか、カードが持つ「公的個人認証機能」をオンラインで本人確認に活用する企業が増加するなど、利用シーンも拡大する見込みだ。
デジタル庁では2022年度中にマイナンバーカードが全国に行き渡るように推進し、2024年中には運転免許証とマイナンバーカードを一体化させ、さらに公的個人認証機能を利用する民間サービスの拡大を目指す。
<オンライン行政サービス>
行政手続きでは、すべての手続きをスマートフォンで完結できる行政サービスの提供も目指している。すでに、薬剤情報や特定健診情報などの閲覧機能、確定申告におけるふるさと納税控除証明書連携機能、公的受取口座の登録機能の提供を開始した。公的受取口座の登録は、1291万件に上る。
2021年12月に「新型コロナワクチン接種証明アプリ」を短期間で公開し、iOS/Androidの累計証明書発行数が1040万件に達したことも記憶に新しい。
<キャシュレスへの対応>
行政手数料のキャッシュレス支払いも推進する。実は各省庁では国へ料金を納付する際「クレジットカードなどのキャッシュレス支払える」と定めた規定が存在していなかった。
そのため、政府では、自動車検査登録手数料などの行政手数料をクレジットカードや電子マネー、コンビジで支払い可能となる「キャッシュレス法」を成立させた。これにより、自動車検査登録手数料や登記関連手数料など、約110件の手続きがキャッシュレス納付に対応できるようになった。
すでに自動車検査登録手数料は年間おおよそ5000万件、登記関連手数料は年間おおよそ4500万件がキャッシュレスで納付された。
【次ページ】2. デジタル基盤の整備による成長戦略の推進
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