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  • 2021/11/15 掲載

モンスター社員が上司の不満を人事部に直訴、さあどうする?組織が取るべきアプローチ

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問題行動で組織に不利益をもたらすモンスター社員。その問題は個人に帰結されがちだが、実は、モンスター社員が生まれる原因の1つに、組織のメカニズムがうまく働いていないこともあるという。人事担当者やマネジメントはどう対処するのが最善なのだろうか。リブ・コンサルティング 常務取締役COO 権田 和士氏(モデレーター)、人事畑一筋のWe Are The People 代表取締役 安田 雅彦氏、コンサルタントから経営に転じたランサーズ 取締役 曽根 秀晶氏がディスカッションを展開した。
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企業に不利益をもたらす「モンスター社員」について、さまざまな角度から組織のプロが議論した

モンスター社員が上司の不満を人事部に直訴、さあどうする?

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リブ・コンサルティング
常務取締役COO
権田 和士氏
権田 和士氏(以下、権田氏):今回のパネルディスカッション企画、私が監修で携わった『モンスター組織』という書籍からつながっていると思います。同書のメインコンセプトは「組織はメカニズムで成り立っている」というものです。モンスター社員への対処を考えるのも重要ですが、それ以上にモンスター社員が生まれてしまうような組織のメカニズムが問題で、それをどのように正していくかについて今日は議論していきたいと思っています。

 とはいえ、モンスター社員が存在するのも事実です。最初のテーマは「自己評価は高いが、上司の評価が高くない社員が、人事部に『上司が分かってくれない』と訴えてきた」というものです。安田さんはこういうケースを何百と見てこられたんじゃないかと思いますが、どう対処されますか。

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We Are The People
代表取締役
安田 雅彦氏
安田 雅彦氏(以下、安田氏):基本的に、自分の責任範囲にある人間関係を良好にする、モラルを保つというのは、まずは上司の仕事だと思います。ですから、僕ならば上司に対して「Aさんがこう言ってるけどどうなの?」と聞き、“分かってくれない”ということの事実確認を含め、その解決は上司に求めます。

 誤解を恐れずに言うと、こういうとき、人事が腕をまくって「よっしゃ!」と出て行ってはいけません。人事は困ったときの助太刀機能ではないので。

 コンプライアンス順守でマネジメントが行われている前提であれば、組織の秩序を考えると、何か対立があれば上司が勝ちます。だからこそ上司のケイパビリティが問われるのです。ですからこのケースで言えば、適切な人が上司であるという前提で上司に解決を求めますね。

権田氏:うまくいってない会社って、ダイレクトコミュニケーションが苦手ですよね。このケースの解決を考えると、まずは人事を含めて三者で話し合って、コミュニケーションのラインを減らす方向で、極力ダイレクトコミュニケーションをするという方法はあるかもしれません。曽根さんは、こういう場合はどうされますか。

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ランサーズ
取締役
曽根 秀晶氏
曽根 秀晶氏(以下、曽根氏):ミクロとマクロ、両方の見方があると思いますが、ミクロの視点は、まずは上司がこれにどう対処するかだと思っています。僕がいたマッキンゼーの場合、事実、解釈、感情などをはっきり分けて扱っていました。

 つまり、「こういう事象があったよね」「私はこう受け止めた」、そして一呼吸置いて「どう思う?」と聞き、お互い納得が行ったら、「これからはこうしないとね」と話を向けていく。事実と解釈だけでも良いので、分けて話すようにする。上司にこれができれば、社員に多少不満は残るかもしれませんが、問題は減るように思います。

 こじれるのは、往々にして事実と解釈がごちゃまぜになるからです。これが感情にまで発展すると泥沼ゲームになって、第三者を入れざるを得ないでしょう。マクロの視点で言うと、これが起こらないような仕組みを考えていくことが重要なのかなと思います。

安田氏:そうですね。僕も上司に解決させると言いましたが、それは放り投げるという意味ではありません。なぜそんなことが起こったのかという根本原因、そこにひそむ組織構造がどうなっているのかを人事は考えないといけないと思います。

権田氏:根底にあるのは、認知のギャップですよね。それが事実、解釈、感情と進むにつれて重くなっていくので、普段から事実認識合わせを意識するのが大事なのじゃないかなと思いました。

安田氏:権田さんのおっしゃるとおりですね。日ごろからまめにコミュニケーションを図っていれば、評価をもらったときに驚きません。「評価をサプライズにしてはいけない」というのが鉄則であることを考えると、きちんとファクトベースで対談していくことが重要ですね。

【次ページ】モンスター社員を生み出してしまう組織のメカニズムとは
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