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  • 2022/01/31 掲載

「創業70年以上大企業」CDOらが語るDX人材戦略、内部登用と外部採用のバランスとは?

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デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進したいが、担い手としての人材が不足している──、そんな悩みを抱える企業は多い。DXに取り組む伝統企業はDX人材をどのように抜擢・育成しているのか、味の素 取締役 代表執行役副社長 Chief Digital Officer(CDO)の福士博司氏、出光興産 デジタル・DTK推進部 執行役員 CDO・CIO情報システム管掌(情報システム部) デジタル・DTK推進部長の三枝幸夫氏、パイオニア モビリティサービスカンパニー Chief Customer Officer & Chief Marketing Officerの石戸 亮氏、ビズリーチ 代表取締役社長の多田洋祐氏(モデレーター)など、創業70年以上の「老舗企業」のDX責任者が人材戦略について語り合った。
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老舗企業のDX責任者が語る人材戦略、社会的課題の解決に求められるスキルとは
本記事は、ビズリーチ主催の2021年8月に開催されたオンラインイベント「創業70年以上のCDO最高デジタル責任者たちが語る、DX人材を活かす真の人事・組織戦略とは」の講演内容をまとめたものです。

「1000人のDX人材」を1年で育てた味の素

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ビズリーチ
代表取締役社長
多田洋祐氏
 前編では、CDOの役割について語った。ではCDOはどのようにDX人材を育成、抜擢し、DXプロジェクトをマネジメントすればいいのか。

 この点に関してビズリーチの多田 洋祐氏から問われた味の素の福士 博司氏は組織内でDXの機運を上げるべく、「既存の社員からデジタル人材を3年間で200人育成する」プランを立てたという。

 実際、味の素社内にはDX1.0のオペレーション変革を通してデジタル熱が高まり、1年目で育成プログラムを受講した社員が1000人を超える成果を挙げた。この結果は「社長にとっても私にとっても嬉しい誤算だった」と福士氏は話す。

 一方、システム開発を担うエンジニアについては、プロジェクトマネジメントを担う人材を3年間で倍増する計画のもと「外部から積極的に採用している」状況だ。

 さらに、データサイエンティストなどのデータ人材は「希少性が高く、味の素には1人いるが、多くの上場企業でもプロパー社員で1人いるかどうかといわれる」状況であることから、「育成というよりは外部の専門家にプロジェクトペースで参画してもらうマネジメントをしている」という。

 このように、DX推進し、実際のプロジェクトを運用するには業務改革だけでなく新事業、新サービスの開発などさまざまな側面に応じて「内部調達で人材を集めたり育成したりすることもあれば、外部の力を頼ることもある」と、ある程度フレキシブルな運用をしているということだ。

 福士氏は、「DXであれ現業部門であれ、スキルを備えた人材は引き合いがある状態」と指摘した。その上で、あくまで経営として人材が必要な課題があり、そのための条件や関門をクリアした人材を適所に割り当てていく、それは経営判断以外の何物でもないとした。

外部採用からスタート、内部登用の割合を高めた出光興産

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出光興産
デジタル・DTK推進部 執行役員 CDO・CIO情報システム管掌(情報システム部) デジタル・DTK推進部長
三枝幸夫氏
 続いて「DX人材の内部登用や育成」について問われた出光興産 三枝幸夫氏は、「ビジネスデザインやデータサイエンスのスキルを備えた内部人材はなかなか見つけるのが難しい」として次のように述べた。

「ビジネスデザインやデータサイエンスのリーダークラスに相当する人材は外部から採用しました。そして、その後のDXの取り組みを通じて、意欲的な内部人材をうまくスカウトして育成につなげる進め方をしました」(三枝氏)

 意欲のある人が手を挙げると、周りにいる人にも波及効果があるという点で効果的に機能したということだ。この話を受け、多田氏は「意欲的な人を見つけるための取り組みはどうしているのか」と三枝氏に質問した。出光興産では内で定期的に開催されるウェビナーなどのイベントがこの場にあたる。

 三枝氏によれば、こうした学びの場は「社内リクルーティングを兼ねている」という。チャットなどで質問をするなどの参加者のアクションを見極めてイベント後に声をかけるなどして人材登用を進めているということだ。

 出光興産におけるDX組織の内部登用者と外部採用者の比率は、「変革の取り組み当初は、私を含め3分の2くらいが外部人材でスタートし、その後は内部登用の割合が増え、今では3分の2くらいがプロパー社員で構成されている」と三枝氏は説明した。また、三枝氏はDXについて「完全なプロジェクト型で運用している」と述べる。

「何かタスクができたら、それに必要なスキルの人材をCoE(Center of Excellence)がアサインし、事業部がアサインした人材と組み合わせて1つのチームにし、100日スプリントという名前つけて、100日で課題解決にあたっているところです」(三枝氏)

 実際には「組成したが課題解決に至っていないプロジェクトもある」とのことだが、タスクによって異なるスキルの人材を横断的に集め、機動的に課題解決に取り組む考え方で運用しているそうだ。また、プロジェクトの先の実ビジネスを見据える点も重要なポイントだ。

「チーム組成の際は、最初の段階から開発者やデータサイエンティストも組み込んでしまいます。これにより、改革の前半部分でテック寄りの人材がビジネスに精通する効果も狙えますし、実運用を想定した開発やテストが始まると、ビジネスの最前線の人たちがテックに詳しくなる相乗効果が生まれるからです」(三枝氏)

【次ページ】異なる領域のスキルを融合することで育成に成功したパイオニア
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