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  • 2021/03/18 掲載

デジタルガバナンス・コードとは何か? 企業の「DX推進」を促す認定制度を解説

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多くの企業がデジタルテクノロジーを活用し、事業変革や新しいビジネスモデルを創造するデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しているが、企業の経営者は組織の価値向上に向けて何をすべきか? 経済産業省の「Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会」では、具体的な実践事例やその評価指標を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめている。その概要を解説する。
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「DX認定制度」とは何か
(Photo/Getty Images)

デジタルガバナンス・コードとは何か?

 デジタルガバナンス・コードとは、経済産業省が社会構想「Society5.0」を目指す上で設定した「企業経営におけるデジタル技術による社会変化への対応を捉え、ステークホルダーとの対話を基盤として、経営者に求められる企業価値向上に向けて実践すべき原則」である。

 デジタルガバンナンス・コードの基本的事項は、国が定めた情報処理促進法(情報処理の促進に関する法律)と対応している。経済産業省が企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)へ自主的取組を促すべく、経営者に求められる対応(デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定や公表など)を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめたものだ。

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デジタルガバナンス・コードの概要
(出典:経済産業省)

 また、「デジタルガバナンス」とは「DXを継続的かつ柔軟に実現することができるように、経営者自身が明確な経営理念・ビジョンや基本方針を示すこと。さらにその配下で組織・仕組み・プロセスを確立し、常にその実態を掌握して評価する取り組み」のことである。

デジタルガバナンス・コードに見る「価値向上のための3点」

 経済産業省が2020年11月に発表した「デジタルガバナンス・コード」によると、企業が持続的な価値向上を図るためには、以下の3点が重要だと説明されている。

  1. (1)ITシステムとビジネスを一体的に捉え、新たな価値創造に向けた戦略を描いていくこと
  2. (2)ビジネスの持続性確保のため、IT システムについて技術的負債となることを防ぎ、計画的なパフォーマンス向上を図っていくこと
  3. (3)必要な変革を行うため、IT 部門、DX 部門、事業部門、経営企画部門など組織横断的に取り組むこと

 中でも、企業全体の組織構造や文化の改革、中長期的な投資を行う観点から、経営者の関与が不可欠となっているという。

 一方で、国内の企業で本格的なDXの取り組みは遅れており、企業のDXを進める能力を無形資産と捉えた経営者とステークホルダーの対話も十分に行われていないことが課題だと指摘している。これらの背景を踏まえ、経営者に求められる企業価値向上に向けての指針となるのがデジタルガバナンス・コードだ。

デジタルガバナンス・コードを構成する「4つの柱」

 デジタルガバナンス・コードでは、企業がDX推進を自主的・自発的に進めることを促している。特に経営者の主要な役割として、ステークホルダーとの対話を捉え、対話に積極的に取り組んでいる企業に対して、資金や人材、ビジネス機会が集まる環境を整備していくという。

 デジタルガバナンス・コードの設計の考え方は、これまで経済産業省が発表してきた「DXレポート」や「DX推進指標」、「システムガバナンスの在り方に関する検討会」などで取りまとめられたガバナンスの評価項目などを基礎とする。また、同検討会で出た議論のポイントを踏まえて、5つの行動原則で構成されるデジタルガバナンス・コードが整理されている。

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デジタルガバナンス・コードの構造
(出典:デジタルガバナンスに関する有識者検討会【2019年9月】)

 これらの原則を基に、デジタルガバナンス・コードは以下の4つの柱で構成されている。

  1. (1)ビジョン・ビジネスモデル
  2. (2)戦略
    1. 2-1. 組織づくり・人材・企業文化に関する方策
    2. 2-2. ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
  3. (3)成果と重要な成果指標
  4. (4)ガバナンスシステム

 デジタルガバナンス・コードの(1)基本的事項の「柱となる考え方」と「認定基準」の部分に該当し、前述の通り優良な取組を行う事業者を申請に基づいて認定する「DX認定制度」と対応している。

第1の柱「ビジョン・ビジネスモデル」の考え方と認定基準

 「ビジョン・ビジネスモデル」の柱となる考え方は、以下の通りである。
“企業は、ビジネスとITシステムを一体的に捉え、デジタル技術による社会および競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた、経営ビジョンの策定および経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルの設計を行い、価値創造ストーリーとして、ステークホルダーに示していくべきである。”

 また、「デジタル技術による社会および競争環境の変化の影響を踏まえた経営ビジョンおよびビジネスモデルの方向性を公表している」ことが認定基準となっている。

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デジタルガバナンス・コードの第1の柱「ビジョン・ビジネスモデル」の概要
(出典:経済産業省「第4回 Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会」【2020年10月】)

第2の柱「戦略」の考え方と認定基準

 次に、デジタルガバナンス・コードの第2の柱である「戦略」については、「企業は、社会および競争環境の変化を踏まえて目指すビジネスモデルを実現するための方策としてデジタル技術を活用する戦略を策定し、ステークホルダーに示していくべきである」という考え方がベースとなっている。

 また、「デジタル技術による社会および競争環境の変化の影響を踏まえて設計したビジネスモデルを実現するための方策として、デジタル技術を活用する戦略を公表している」ことが認定基準となっている。

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デジタルガバナンス・コードの第2の柱「戦略」の概要
(出典:経済産業省「第4回 Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会」【2020年10月】)

・2-1「組織づくり・人材・企業文化に関する方策」の考え方と認定基準
 戦略の要素となる「組織づくり・人材・企業文化に関する方策」では、以下の考え方が柱となっている。
“企業は、デジタル技術を活用する戦略の推進に必要な体制を構築するとともに、組織設計・運営の在り方について、ステークホルダーに示していくべきである。その際、人材の確保・育成や外部組織との関係構築・協業も、重要な要素として捉えるべきである。”

 認定基準としては「デジタル技術を活用する戦略において、特に、戦略の推進に必要な体制・組織に関する事項を示している」ことが求められる。

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デジタルガバナンス・コードの第2の柱「戦略」の2-1「組織づくり・人材・企業文化に関する方策」の概要
(出典:経済産業省「第4回 Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会」【2020年10月】)

・2-2「IT システム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策」の考え方と認定基準
 また、戦略のもう1つの要素である「ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策」における考え方は以下の通りだ。
“企業は、デジタル技術を活用する戦略の推進に必要な IT システム・デジタル技術活用環境の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策、利用する技術・標準・アーキテクチャ、運用、投資計画などを明確化し、ステークホルダーに示していくべきである。”

 その認定基準としては、「デジタル技術を活用する戦略において、特に、IT システム・デジタル技術活用環境の整備に向けた方策を示している」ことが示されている。

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デジタルガバナンス・コードの第2の柱「戦略」の2-2「IT システム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策」の概要
(出典:経済産業省「第4回 Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会」【2020年10月】)

【次ページ】デジタルガバナンスコード「第3の柱」「第4の柱」と認定基準とは
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