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  • 2020/10/13 掲載

OKRとは?Googleも実践する目的管理方法導入手順・成功のポイント解説

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GoogleやFacebookなど、大手IT企業が導入したことで知られるようになった「OKR」。目標管理方法の1つだが、従来の目標管理方法とはどこが違うのだろうか。OKRが求められるようになった背景を整理し、OKRの特徴を、KPIやMBOとの違いも比較しつつ解説する。さらに、OKRの特徴を踏まえて今導入するメリットと運用のポイントについても紹介。自社の目標管理方法への導入や改善を検討している方は、OKRについての理解を深め、自社に導入するかどうかを検討する一助としてほしい。
企画:ビジネス+IT編集部、構成・監修:時田信太朗

企画:ビジネス+IT編集部、構成・監修:時田信太朗

テック系編集者/メディア・コンサルタント
外資系ITベンダーでエンジニアを経てSBクリエイティブで編集記者、スマートキャンプでボクシル編集長を歴任。2019年からフリーランスで活動。メディアコンサルタントとしてメディア企画プロデュース・運営に携わる。

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OKRはGoogleも活用する目標管理ツール
(Photo/Getty Images)


OKRとは?

 OKR(Objectives and Key Results)は、組織が掲げる目標(ゴール)を達成するために、達成目標(Objectives)と主要な成果(Key Results)をリンク、組織・個人の方向性の統一などを目的としている目標管理方法の1つである。米・インテル社で誕生したOKRは、近年GoogleやFacebookなど大手IT企業が導入・成功したことで注目されるようになった。

 OKRの特徴と他の目標管理方法との違いについて、もう少し詳しく掘り下げていこう。OKRの特徴は、主に以下の3点である。

  1. 目標(Objectives)と成果(Key Results)をリンク
  2. 組織と個人で目標の方向性とタスクを明確にする
  3. 目標(ゴール)の統一

 これらの特徴を図示すると以下のようになる。

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OKRの特徴を示した階層構造

 まず、組織が掲げる目標を組織全体が目指すゴールと定める。組織全体の達成目標(Objectives)から、主要な成果(Key Results)を割り出してリンク。主要な成果は、下位組織(部署)の達成目標・主要な成果を導き出すインプットとなる。最終的には、従業員の達成目標と主要な成果までトップダウンで順番に設定していく。

 このようにすることで、組織全体のゴールを達成するために、組織から個人に至るまですべてが同じ方向の目標を目指し、何をすべきかというタスクが明確になる。

OKRの目標「ムーンショット」と「ルーフショット」

 OKRで目標を設定する際は、ムーンショットとルーフショットの2種類がある。ムーンショットとは、「月に届くほどのショット」という意味で、非常にチャレンジングな目標。一方、ルーフショットは「屋根に届くほどのショット」という意味で、堅実に成果を出したいときの目標である。

 ムーンショットの場合、目標達成度は60~70%、ルーフショットの場合は目標達成度100%が適切な設定だ。Googleでは、OKRの目標設定にはムーンショットを採用している。自身で達成可能と思っている目標よりもさらに高い目標を「ストレッチゴール」として設定。優秀な人材を引きつけるとともに、職場を活気づけ、達成した場合非常に高い成果が得られるという(注1)。

注1:re:WORK
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/set-goals-with-okrs/steps/understand-moonshots-vs-roofshots/

KPI・MBOとの違い

 OKR以外で有名な目標管理方法には、KPI(Key Personal Indicator)とMBO(Management by Objectives)がある。これら3種類の目標管理方法は、それぞれ目的や運用単位など、異なる点が多い。以下に、3種類の目標管理方法の比較を示す。

比較項目 OKR KPI MBO
目的 組織同士の連携による企業目標達成
イノベーション
定量的な計測による達成度評価と業務の改善 従業員個人の人事考課
評価 評価とは別運用 業績評価に直結 報酬に直結
運用単位 企業全体(各部署・従業員個人にいたるまですべて) 特定の部署やチーム 上司と部下
目指す達成度 ムーンショット:60~70%
ルーフショット:100%
100% 100%
他の特徴 帰属意識の高まり、エンゲージメントの向上 PDCAサイクルを回しやすい 従業員個人の能力向上


 KPIとは、「業績管理評価のための重要な指標」と定義される。それらが適切に実行されているかを順次チェックしていき、最終目標の達成につなげる。ムーンショットという達成度もあるOKRとは違い、目指す達成度は100%だ。また、評価とは別運用となるOKRとは違い、KPIは業務評価に直結する(注2)。

注2:NRI
https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/alphabet/kpi#:~:text=KPI%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E7%B5%84%E7%B9%94%E3%81%AE,%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

 MBOとは、 組織の事業目標達成につながる個人の目標を設定し、個人の目標達成と能力・スキル向上を目指す目標管理方法のことだ。人事考課に直結し、評価により報酬に反映される点が、OKRとの相違点である。

OKRが注目される背景

 OKRが注目される背景は、主に「働き方の変革」「マネジメントが難しい社会」「求められる生産性の向上」の3点にまとめられる。それぞれの背景について、もう少し詳しく見ていこう。

●働き方の変革
 現代社会は、VUCA(ブーカ)の時代とも呼ばれている。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字からとった用語だ。VUCAが高い世界市場は、混とんとしており変化のスピードが速い。価値観やライフスタイルの多様化により、各組織や個人が個々に目標を設定すると、組織として統一した動きができにくくなっている時代だともいえる。

 リモートワークの普及により、組織への帰属意識が低下するなどの懸念もあるだろう。各企業は、このスピードに適応するため、組織全体の目標を更新する頻度も高くなる傾向にある。組織全体のゴールを、各部署・従業員個人にまで浸透させて同じ方向性を持たせるには、OKRのような目標管理方法のほうが柔軟に対応しやすい。

●マネジメントが難しい社会
 変化のスピードが激しく、「これだけやっておけば確実」というものがなくなりつつある現代。マネジメントの正解はなく、時代の流れに合わせて変化に対応していかなければならない状況だ。しかし、OKRなら従業員と企業の目標のすり合わせや、方向性の統一をしたうえでビジョン(目標)とミッション(タスク)を明確にできる。

 また、組織全体の目標が変化した場合、組織・個人の目標とタスクもトップダウン式に変更可能だ。企業の達成目標と個人のビジョン・ミッションが明確につながっていることが意識できると、従業員の帰属意識やモチベーションのアップにもなる。従業員個人に良い影響があると、マネジメントもしやすくなるだろう。

●求められる生産性の向上
 少子高齢化が進行する日本において、各企業は、組織全体の成果へ人材を集中させ、離職を防止して組織として生き残らなくてはならない。また、世代交代を迎えた企業は、既存の組織風土やコミュニケーションを改善し、「生産性を飛躍的に向上させたい」という思いもある。

 また、柔軟な発想でイノベーションを起こすことで企業の成長を促し、業績を向上させたい企業も多い。OKRを用いることで、企業全体の目標を達成するため、全組織・全従業員の能力を集中的させることが可能だ。イノベーションを起こしたい企業は、目標にムーンショットを採用し、挑戦的な目標を掲げてタスクを遂行していくことで、飛躍的な成果を得る可能性が高くなる。

【次ページ】OKR導入のメリット
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