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  • 2020/10/14 掲載

総務省の医療ICT施策まとめ、「ネットワーク化」「ICT利用」の2つの側面から

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これまで経験したことのない超高齢社会に突入している中で、日本はさまざまな課題を抱えています。生産年齢人口の減少による労働力の不足、それに伴う所得水準低下、医療や介護、年金などの社会保障費増大……。総務省では、これらの課題に対し、「医療・介護・健康分野の情報化推進」を図る社会的な課題の解決への取り組みを進めています。本記事では、総務省が実施している医療・介護・健康分野におけるICT(情報通信技術)活用の概要を紹介していきます。
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国の方針を知ることで、今後の医療ICTの大きな方向性も見えてくる
(Photo/Getty Images)


総務省の医療分野、ICT施策の2つの指針とは

 総務省では現在、「医療費・介護費の増大」「医療資源の偏在」などの解決、さらに「健康寿命の延伸」や「医療製品・サービスの強化」などを目指し、その実現に向けた取り組みを進めています。

 そこで同省が掲げているのが、「医療・介護・健康分野のネットワーク化の推進」「医療・介護・健康分野における先導的なICT利活用の推進」という2つの指針です。

 まず、「医療・介護・健康分野のネットワーク化の推進」について説明しましょう。日本では2025年ごろ、団塊の世代が75歳以上となって医療・介護などの需要が急増すると予想されています(医療・介護における2025年問題)。医療や介護が必要な状態になっても、できるだけ住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けるため、医療や介護、予防、住まい、生活支援が包括的に確保される「地域包括ケアシステム」の構築が進められています。その実現のためには、地域の医療機関や介護施設間での効率的な情報共有が必要不可欠です。

 これまで医療機関や介護施設が保有する患者や利用者のデータは、それぞれの施設内で利用するために集められてきました。こうしたデータを安全に共有できるネットワークの構築を進めるのが、総務省の取り組みの1つ目の柱です。

 次に、「医療・介護・健康分野における先導的なICT利活用の推進」について説明します。2040年、日本の100歳以上の人口は30万人になると予想されていますが、平均寿命の延びに伴って、心身ともに自立し健康的に生活できる「健康寿命」の延伸も望まれています。

 そこでカギとなるのが、人工知能(AI)やロボット、ビッグデータなどの先進のデジタル技術とデータの利活用です。総務省では2016年度から日本医療研究開発機構(AMED)を通じて、医療・介護・健康分野に係る研究開発を実施し、利活用促進事業を進めています。これが2つ目の柱となるICTの利活用です。

 では以下、「ネットワーク化の推進」「先導的なICT利活用の推進」それぞれの取り組み内容をさらに深堀りして見ていきます。

「医療・介護・健康分野のネットワーク化推進」の取り組み

 現在、政府では「レセプト」(医療報酬の明細書)に基づく薬剤情報や特定健診情報などの患者の保健医療情報について、患者本人や全国の医療機関などで確認できる仕組みの構築を目指しています。それと連携して、総務省では、医療・介護・健康分野の情報連携基盤のあり方や、具体的なネットワーク利活用モデルを検討するための実証事業を実施しています。

・医療・介護・健康分野の情報連携基盤への取り組み

 医療・介護に関するデジタルデータには、主に「EHR(電子健康記録:Electronic Health Record)」と「PHR(個人健康記録:Personal Health Record)」の2種類があります。

 EHRには、基本属性データや医療記録、検査データ、放射線診断データ、薬剤データなどの臨床記録が含まれます。認可を得た複数の医療機関がデータを収集・管理し、医療機関の間でデータを交換できます。

 一方のPHRは、診察・検査データ、薬剤データ、自己測定による血圧や血糖、体重、食事や運動、服薬、日常行動などに関するデータを指します。スマートフォンなどの管理サービスを使って、利用者自身が一元的に保存する仕組みです。

 総務省では個人が持つPHRと、医療・介護施設・自治体・薬局などがEHRを基に連携する医療連携ネットワークとの連携を図ることで、国民1人ひとりを中心としたデータを統合。個々人に最適な健康管理・診療・介護を実現することを目指しています。

 実証事業では、共有対象のデータの種類や共有範囲を広げたり、相互接続の際のセキュリティや運用ルールの検討などを進めています。

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医療等分野におけるネットワーク化の推進のイメージ図
(出典:総務省Webサイト

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