大阪のみさき公園は3月いっぱいで閉園に

　大阪府南部、和歌山県との境に位置する人口約1万6000人の岬町。南海電鉄みさき公園駅前にあるみさき公園は、新型コロナの影響で2月から臨時休園しているものの、人口減少に苦しむ町のシンボルといえるレジャー施設だ。

　みさき公園は南海電鉄が1957年に開園した。広さ約34ヘクタールで、動物園と遊園地がある。開園当時から備える西日本最古のジェットコースターやイルカショー、動物園のサル山、レジャープールなど昭和の香りが漂う設備、イベントをそろえ、大阪府や和歌山県のファミリー層から人気を集めていた。

　ピーク時の1989年度には年間入園者72万人を記録したが、その後は南海沿線の人口減少や少子化、娯楽の多様化で入園者が減り続けた。2018年度の入園者はピーク時の半分以下の33万人。ここ数年、2～4億円の赤字を毎年出している。


　南海電鉄は2019年、事業からの撤退を決めて譲渡先を探したが、興味を示した複数の企業と条件面で折り合わず、閉園を決めた。盛大な閉園イベントは新型コロナの影響でまだ実現せず、このまま閉園となることが懸念されている。飼育している約70種、450匹の動物は、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドに引き取られる。

　岬町はこれまでみさき公園のイベント告知などに協力し、町の観光拠点として精力的にPRしてきた。閉園後は無償譲渡を受けて公園として再整備したい意向で、菜園など住民や観光客が自然と親しめる場所にする構想が浮上しているという。開会中の3月町議会に報告する予定だが、南海電鉄は「現在、詰めの交渉中」としている。

　岬町産業観光促進課は「町のシンボルでもある観光拠点が消えれば、観光戦略を一から練り直さなければならない。町にできる範囲で跡地を有効活用したい」と話した。

東京のとしまえんは閉園の話が急浮上

　としまえんも新型コロナで臨時休園中だが、閉園して東京都が大規模公園として整備し、一部にハリー・ポッターのテーマパークを建設するという話が2月に急浮上した。としまえんを運営する豊島園の親会社は西武鉄道。西武鉄道と東京都、米ワーナー・ブラザーズ間で交渉があるのは事実だが、西武鉄道は「決まった話は現時点でない」と説明している。

　としまえんは大正時代の1926年開園。広さ22ヘクタールで、戦前はスポーツやボート、釣りが楽しめる総合公園だったが、戦後は遊園地として発展した。若者向けの絶叫マシンを次々に導入して都民の人気を集め、1990年代には400万人以上の年間入園者があった。

　しかし、その後は娯楽の多様化や東京ディズニーリゾートの拡張などから客足が鈍る。2018年度はピーク時の4分の1程度の112万人に落ち込んだ。ただ、前年度に比べて20.5％の伸びを記録しており、少子化が進む中で集客に健闘している。

全国の主なテーマパーク、遊園地、レジャー施設の2018年度入園者数

施設	場所	入園者数（万人）
東京ディズニーリゾート	千葉県浦安市	3256
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン	大阪市此花区	1460（注2）
ハウステンボス	長崎県佐世保市	272
サンリオピューロランド	東京都多摩市	219
よみうりランド	東京都稲城市	191
ひらかたパーク	大阪府枚方市	131
アドベンチャーワールド	和歌山県白浜町	129
志摩スペイン村	三重県志摩市	122
としまえん	東京都練馬区	112
レオマリゾート	香川県丸亀市	107

　東京都は1950年代からとしまえんを公園化する計画を持っている。周辺住民の反対などから、計画は長くストップ状態だったが、2011年にとしまえん周辺を練馬城址公園として優先的に整備する方針を打ち出した。小池百合子東京都知事は2月、「今はまだ交渉の段階」と記者団に述べた。

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