- 会員限定
- 2019/11/17 掲載
年収が10倍に?なぜ目標を「手書き」するだけで達成の可能性が上がるのか
手で書くことと脳との不思議な関係
私たちは何世紀にもわたって「書く」という動作を行ってきました。しかしいま、「書く」という動作はどんどん少なくなってきました。PCなどで高速でタイプするほうが、速く書けるので効率がいいのではという考えもわかります。そんな時代だからこそ、今、手で「書く」ことの重要性が問われています。たとえば、手で書くこと、自己肯定感、そして脳との関連性について2つの検証結果あります。
「書く」ことは、実際に学習や目標達成を助けるという研究結果があります。カリフォルニア・ドミニカン大学の心理学マシュー教授が、「書くこと」と「目標を共有すること」の効果を科学的に証明しています。
単に目標を設定するだけの人と、目標を紙に書き・誰かに伝え・説明をし続けた人は、達成の可能性が、 33%も高いことが実証されています。ほかの研究でも、外国語の学習には手書きが効果的であるという研究結果や、「書く」ことが、学生の記憶と成績によい影響を与えたことが明らかになっています。
「目標を手で書くこと」でなぜ「記憶力があがること」に効果があるのか。その仕組みは、「書く」という動作が、脳幹の網様体賦活系(もうようたいふかつけい、以下RAS)にある細胞を刺激するからです。脳幹のRASは、脳が処理するなかで、積極的に注意を向けているものを、一番重用視するというフィルターです。
「書く」という動作は、「その瞬間に積極的に注意を向けているもの」として認識されます。書くことと生産性について研究しているH・A・クラウザー氏は著書『夢は、紙に書くと現実になる!』のなかで次のように記述しています。
「書く」という動作でRASが刺激されると、大脳皮質に「目覚めろ。注意を払え。細かいところまで見逃すな。」という信号が送られる。だから、目標や覚えておきたいこと紙に書くと、脳はそれを本人に深く認識させようとして、絶えず注意を呼び起こすというのです。
左右の脳のバランスがよくなる
じつは、私たちがペンをもち、紙に文章を書いているとき、脳は非常に活発に動いています。多くの研究が、考えを文章にすること、ノートに書き進めることで、右脳と左脳の両方がバランスよく使われると指摘。そして、キーボードやスマホを触るのではなく、ペンをもち、手を動かすことが記憶をつかさどる部位を刺激することも確かめられています。実際、ワシントン大学の研究では、手書きでエッセイを書いた小学生は文章の完成度が高く、読み方を習得するスピードも速いことがわかっています。
これは手で文字を書く行為によって、脳の複数の領域が同時に活性化され、学んだことを深いレベルで脳に刻み込むことができるから。
つまり、紙に書くことがあなたの脳のもっている力を引き出してくれるのです。ちなみに左脳は、読む、話す、計算するなどの言語、文字の認識や計算するという推理、論理的思考などを担当し、論理脳と呼ばれます。
右脳は、映像の認識、イメージの記憶、直感・ひらめきをつかさどり、感覚脳と呼ばれています。そして、「書く」ことの“3つの効果”が脳のバランスを整える効果があるのです。
感情を吐き出し書き出す「(1)アウトプット効果」は主に感覚脳である右脳を使います。文章にして確認することで心の整理整頓をする「(2)見える化効果」は論理脳である左脳を使います。書き出したものを視て目で確認する「(3)インプット効果」は、左脳と右脳を同時に使います。
“3つの効果”を引きだす書き方をすることで、左脳と右脳がバランスよく使われ、あなたの脳のバランスも整えることができます。つまり、あなたの思考や感情のバランスも整うのです。
また、脳は変化を嫌う性質があります。なぜなら、新しいことをすることで、細胞の大量のエネルギーを余分に使うのを嫌がるからです。だから、人間は変化を嫌う生き物なのです。逆に、習慣化されたものは、日常になります。脳は変化を嫌いますから、これを崩すことはできません。
【次ページ】書くだけで年収が10倍になったハーバード大学の調査
関連コンテンツ
PR
PR
PR