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あなたは、大切なプレゼンをする会議に5分遅刻してしまったと仮定しよう。「ヤバい、上司が怒っている?」と不安になり、緊張し、プレゼンも失敗してしまうかもしれない。しかし、「私はこの企画案に自信がある」「私は期待されているのだ。5分の遅刻くらい、挽回できる」と前向きに考えれば、いいプレゼンができるだろう。前者のように、ささいなことですぐネガティブになり、仕事にまで悪影響を及ぼしてしまうのは「自己肯定感が低いからだ」と、カリスマ心理カウンセラーの中島 輝 氏は語る。著書『
自己肯定感の教科書』を上梓した中島氏に、自己肯定感の高め方を聞いた。
自己肯定感のわな(1)「過去」
自己肯定感を低下させるのは「2つのわな」です。その1つめが、「過去の失敗へのこだわりやトラウマ」です。
大人になると自己肯定感は下がりやすくなります。大きく分けて理由は2つあります。1つは、経験が増えるからです。とくに失敗した経験というのは、強く印象に残ります。そして、同じ失敗を繰り返したくないという意識も高まります。これが自己肯定感を低くするトリガーとなっていくのです。たとえば、あなたもこんな経験をしたことがあるかもしれません。
- プレゼン中に頭が真っ白になり、何も話せない空白の数分を経験してしまった。
- 徹夜して仕上げた渾身の企画書が、「いまいちだな」と一蹴されてしまった。
- よかれと思ってやったのに、「余計なことはしなくていい」と言われた。
- 一生懸命、料理をつくったのに、「お腹いっぱいだから」と食べてもらえなかった。
私たちは過去に失敗体験をしたことに対して、苦手意識を持つようになります。会議で発言するのを避けたくなり、プレゼンが恐怖になり、新たな提案をするのが億劫になったり、何をやっても邪魔してしまうかもと思ったり、彼のご機嫌を過度に伺うようになったりします。
自己肯定感のわな(2)「他人との比較や劣等感」
そして、プレゼンが恐怖になった人は、上司から「来月の取引先でのプレゼン、よろしく」と言われたら、その日から確実に憂鬱な気分になって自己肯定感も低空飛行を始めます。
- 自分は同僚の誰々よりも仕事ができない。
- いつも笑顔で可愛がられる後輩のように振る舞いたいのに、うまくいかない。
- 他のお母さんのように子育てがよくできない(だから子どもがいじめられる)。
- 私にはみんなのような女性としての魅力がない(だから恋愛が長続きしない)。
どうしても他の人と比較してしまう。人生が長くなるにつれて、比較の対象は増えていくように思えます。これが、自己肯定感のわなの2つめ、「他人との比較や劣等感」です。
たとえば、偏差値55だった私が勉強をし、56、57、58と少しでも上昇したとき、自分のがんばりと努力によって結果を出したんだと、自分を認めていくことで自然と自己肯定感が高まります。ところが、友達のAくんは偏差値65だと知ったとしましょう。そこで、Aくんと自分を比較し始めると「自分がこれだけがんばったのにAくんに負けているなんて、自分は勉強ができないんだ」と考え、自己肯定感が下ってしまうのです。
身近にいる人をライバルとして定め、競い合うことで力を伸ばすというのは、勉強や仕事で成果を出すために有効な方法ではあります。しかし、それが正しく機能するのは自己肯定感が高まっているときのこと。「偏差値55だった私が勉強して、58になった。よくやった。これからまたがんばろう」と自分自身を認めることが重要です。そのステップを踏まず、「でも、Aくんは65だから」と比較してしまうと自己否定が始まってしまいます。
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