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電子国家として知られ、e-Residencyでも注目を集めるエストニア。この国ではビジネスディベロップメント(BizDev)が盛んだ。そこでエストニアでSetGoを立ち上げた齋藤アレックス剛太氏、電通 ビジネスプロデューサー 片貝朋康氏、プロノイア・グループCCO(Chief Culture Officer)兼コンサルタント 世羅侑未氏が「エストニアにおけるBizDevの最新事情」をめぐって語り合った。
エストニアが注目されるワケ
片貝氏:なぜエストニアが注目されているのでしょうか。
斎藤氏:今年に入って、本気でエストニアでビジネスをやろうという人が増えています。日本企業のエストニアへの関心が高まり、それに比例して視察団体も多くなりました。一方で視察のマナーが現地で問題視されています。
そうした背景もあり、「エストニアで『日本人お断り』のスタートアップが増えた理由」という記事を書いたところ、140万PVを獲得し、反響がありました。
エストニアが事業の開発先として注目されている理由の第一は、ユーロ圏内にあるので、ヨーロッパでのビジネス展開しやすいこと。第二に税が一律20%とシンプルなこと。第三はe-Residencyという電子国民プログラムがあること。エストニアに非居住なので、住民税も発生しません。またこのカードがあれば、リモートで企業を設立できたり、電子署名も簡単です。国際グローバル会社にありがちな、契約書を書いて送ってという煩雑なやり取りもありません。そういう環境があるので、注目されています。
片貝氏:僕は先日、エストニアに行ってきました。そこで感じたのは、エストニアの人々は利他的だということ。日本企業は利己的で、自社の売り上げや利益、来期の見通しなどに固執し、留まってしまいます。それだとイノベーションは起きづらい。ですが、テクノロジーの面ではエストニアが絶対的に優れているわけではありません。日本も十分、戦えます。
「プレゼン止まり」の日本、「さっさと実現性協議」のエストニア
斎藤氏:エストニアはAI国家、ブロックチェーン国家と言われていますが、電子政府のテクノロジーは最先端ではなく、既存のテクノロジーをうまく活用しているんです。
世羅氏:電子政府が進んでいるのは、国民の大多数がちゃんと使っていることが大きいですね。
斎藤氏:エストニアはのどかな美しい景色が拡がっている国です。そこにテクノロジーが社会にちゃんと馴染んでいるんです。
片貝氏:日本ではプレゼンを重要視しますが、そこからビジネスがなかなか生まれません。エストニアに行ったことで、ディスカッションをする場がビジネスの場になるんだということを感じました。
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