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- 2019/04/14 掲載
「民主主義の根幹が揺らぐ」、統一地方選で「無投票続出」の大問題
徳島県議選は3割近くが無投票で当選
3月29日に告示された徳島県議選小松島・勝浦選挙区。小松島市と勝浦、上勝両町を選挙区とする定数3に、現職の3候補が立候補した。事前に無投票が予想されていたせいか、3陣営に緊張感はない。それぞれ選挙カーをひと通り走らせたあと、午後5時の立候補受け付け締め切りを待ち、当選確定の知らせが届くとバンザイで支持者と喜びを分かち合った。小松島・勝浦選挙区の無投票はこれで2回連続。小松島市から2人、勝浦町から1人が立候補し、選挙地盤もすみ分けできている。人口減少が進む中、若い世代の政治離れが進み、議会にチャレンジしようとする動きが少なくなっているという。
小松島市は港町、勝浦、上勝両町はミカン産地として昭和の時代に隆盛を誇った。選挙となると地域を挙げて激しい集票合戦を繰り広げてきた土地柄だ。しかし、関西航路の廃止や輸入果実との競争などから地域経済が落ち込み、住民の高齢化が進むと、選挙が低調になってきた。
小松島市小松島町で年金生活をする男性(78)は「選挙区が抱える課題は他の地域より大きいはず。それなのに、2回連続無投票では有権者は何も選択できない。地域を変えようと考える若い人は出てこないのか」と肩を落としていた。
徳島県議選は定数38に対し、47人が立候補した。立候補者は過去最少で、13選挙区のうち、小松島・勝浦、吉野川など6選挙区の11人が無投票で当選している。事前予想では無投票の選挙区が過去最多になるとみられていたが、無投票阻止へ立候補した人もいて、無投票区は前回より1つ減った。それでも定数の28.9%を無投票当選者が占めている。
全国41道府県議選、過去最高の無投票当選率に
統一地方選の前半戦では、北海道、大阪、福岡など11道府県知事選、6政令市長選、41道府県議選、17政令市議選があった。このうち、道府県議選には定数2,277に計3,062人が届け出た。大阪府議選のように知事選、大阪市長選などと連動し、活発な選挙戦になった事例もあるが、あくまで例外。各地で無投票当選が相次いだ。立候補者は過去最少で、競争率の1.34倍も過去最低。定数に占める無投票当選者の割合は、前回の21.9%がこれまでの最高だったが、今回は26.9%と前回を大幅に上回り、記録を更新した。
徳島県以上に無投票当選が相次いだ道府県もある。岐阜県議選は定数46に対し、58人の立候補者しかなく、47.8%の22人が無投票当選した。26選挙区中、半数以上の16選挙区が無投票だ。愛知県は定数102に138人が立候補し、無投票当選者が41人。40.2%の無投票当選率を記録している。両県議選とも無投票当選率は過去最高だ。
北海道は国政の与野党が全面対決した知事選が全国的な話題になったが、定数100の道議選は46選挙区中、21選挙区が無投票になり、過去最多の35人が選挙の洗礼を経ずに当選している。知事選の盛り上がりが道議選へ波及することはなかった。
香川県議選は無投票当選率が46.3%に達した。神奈川県議選も過去最多の13選挙区が無投票になっている。大都市圏、地方を問わず、地方議員のなり手不足が深刻さを増しているのが、浮き彫りになった格好だ。
【次ページ】深刻さ増す「なり手不足」に地方議会が悲鳴
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