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「経営と働き方のあり方をひもとく」をテーマにしたセッションに、ソフトバンク人事本部 本部長 長崎健一氏、コーンフェリー シニアパートナー 山口周氏、リアルディア 代表取締役社長 前刀(さきとう)禎明氏が登壇した。東洋経済新報社 東洋経済オンライン編集長 武政秀明氏がモデレータを務めた当セッションでは、それぞれの立場から“新卒一括採用”や“リーダーの素質”について提言がなされた。
人間の一番パワフルなリソースはモチベーション
東洋経済オンライン 武政秀明氏(以下、武政氏):今、日本でさかんに働き方が問われています。これは単に場所や時間を変える、という問題ではないように思いますが、このあたりどう思われますか。
リアルディア 前刀禎明氏(以下、前刀氏):働く個人の視点は、「会社に行かなくていい」など、いかに自由に働けるかがポイントになっているようです。しかし、それならば企業側にも「雇い方改革」があってもいいと思います。
“君の今月のパフォーマンスは先月の半分だから給料も半分”など、企業と個人との間で本当にフェアな関係が作られていくべきです。個人が会社を選ぶ時代だなと言われていますが、自分の市場価値をきちんと認識せずに、ただ「自由に働きたい」では幸せにはなれません。
コーンフェリー 山口周氏(以下、山口氏):私は組織に関する仕事をしているため、いろいろなデータが手元に来るのですが、60カ国で「あなたは仕事がおもしろいですか」と尋ねたところ、日本人はビリか、ビリから2番目でした。自分の仕事が面白いものだと思って働いている人がとても少ない。
これは2つの点で問題です。1つは、イノベーション創出です。面白いと思って仕事をしないとその人のパフォーマンスは絶対に出ません。人もいない、お金もない、テクノロジーもない、でもイノベーションを起こしたいと思っている人と、大企業にいてそのすべてがあるのに、イノベーションをやれと命令された人が戦うと、前者が勝つのです。今の世の中で一番パワフルなリソースはモチベーションです。
もう1つは、その人の人生にとっての損失です。脂が乗りきっている20~30年の仕事人生のうち、数年をつまらないと思って働くのはすごく問題があります。
どうしてこんなに海外とスコアが開くのか。ここには、労働流動性の問題があると思います。私は今の会社が7社目ぐらいですが、これだけやってくると、どこかでパチっと合う仕事を見つけられます。
日本では比較的「移らないことがいいことだ」という認識がありますが、ここが変わってくると状況はすごく変わると思います。
武政氏:ソフトバンクさんは業容がどんどん変化していて、20年前とは全然違う会社になっています。プロパーの方、外から入ってきた方、意識はどう変わってきていますか。
ソフトバンク 長崎健一氏(以下、長崎氏):いろいろな融合を通して価値観は多様化しています。しかし、「情報革命で人々を幸せに」という企業理念への共感やスピード、新しいものにチャレンジする姿勢などは唯一共通していて、自分がその中で成長できると思った人が、今当社にいるのだと思います。
前刀氏:山口さんが「仕事をおもしろくないと思っている人が多い」と言われましたが、ワークライフバランスという言葉があるでしょう。私は個人的にこの言い方が好きではありません。
なぜならこの“ワーク”には「仕事とはやらされるもの、つらいものだ」という前提があるからです。そんなことよりライフを大事にしようという考え方はもったいない。
仕事は人生できわめて重要なファクターです。最近は副業容認の風潮が高まっていますが、「本業はライスワークと割り切って、本当にやりたいことは副業で実現しよう」というのも、同じ文脈でもったいないと思います。
新卒一括採用なんてやめてしまえ
前刀氏:日本企業の人材採用という点では、新卒一括採用にも問題があると思っています。ソフトバンクさん、まだ(新卒一括採用を)やります?
長崎氏:そう聞かれると答えるのが難しくなりますが(笑)、当社は通年採用を明確に打ち出していて、新卒採用においてもインターン制度を重視しています。たぶん日本でも1、2位を争うぐらいなのではないでしょうか。
どう行っているかというと、2~4週間と期間を長く設定して、PCや携帯電話を貸与し、ほんとうに職場に入ってもらうのです。今、新卒の1/4ぐらいはインターン経験者です。10年近く続けていますが、インターン経験者は入社後のパフォーマンスや定着率が高いですね。
前刀氏:そうやって時間を使って学生と向き合うのはいいですが、エントリーシートなどはもうやめた方がいいですよ。
山口氏:僕も新卒一括採用には反対です。サイコロを投げるようなものだと思います。企業にとっても、個人にとっても。よく「自分の強みを生かせ」などと言いますが、まだ本格的に働いたことのない学生にそれはわからないし、本当に得意なことは、その人にとってあまりにも当たり前にできるため、それが強みだと認識していないケースがあります。
前刀氏:それなのに企業が学生に自己分析、自己分析というものだから、学生は悩んでしまって、どうでもいいことを自分の強みだと思いこんでいたりします。
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