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  • 2018/03/06 掲載

製造業でAIはどう活用すべきか? 米国やイスラエルの先進事例が指し示すもの

フロスト&サリバン連載 「TechVision:世界を変革するトップ50テクノロジー」

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製造業におけるインダストリー・オートメーションのような先進技術の活用例は枚挙に暇がない。一方で製造原価への感応度の高さから、直接的な原価改善効果が見えにくい周辺技術に投資できるプレーヤーは大幅に限定されていた。しかし近年は、IIoT(Industrial Internet of Things)やインタストリー4.0に加え、人工知能(AI)が旧来のオートメーションでは手を出せなかった領域にまで、活用の幅を広げている。今回は、フロスト&サリバンジャパン副社長兼コンサルティング部長の長竹宏氏が、AIの発展と今後の展望について解説する。
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製造業の命綱がAIになる日は近い?
(© wladimir1804 – Fotolia)


現在はAIの第3次ブーム、過去2回のブームとは何が違うのか?

 AIは現在、第3次ブームの真っただ中にあるといわれている。第1次、第2次のいずれにおいても、産官学すべてからの注目度は高く、大規模な投資とともに研究・開発が行われた。一方で、過去2回はいずれも、産業界では一定の落胆と失望を伴って活動は沈静化した。今回こそは、単なるブームだけにとどままらない社会インパクトを引き起こすことが期待されている。

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AIの種別とその主な特徴
(出典:フロスト&サリバン)


 過去2回のブームとの大きな違いは、深層学習(ディープラーニング)により、学習データからの自発的な特徴量の抽出が可能になったことで、人間の手による特徴のインプットが不要になったことであるのは、もはや多くの方が知るところである。それ以外に、もう1つ忘れてならないのは、AIの根幹を支えるコンピュータとその計算力の発展である。

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人間の脳とコンピュータ、スパコンの比較
(出典:フロスト&サリバン)


 実はAIがいかに進化を遂げて、その活用範囲を拡大しても、計算力がネックであることには変わりがない。深層学習も、昔からアイデア自体は存在していたが、計算力が追いつかず、実現していなかっただけであるという見方も多い。我々は第3次ブームになってようやく、AIを汎用化(AGI)させるための第一歩を歩み出したにすぎないという考え方もできる。

テクノロジージャイアントによるAI関連企業の買収が過熱

 AI関連ビジネスが特徴的なのは、インターネットとドットコムビジネスから一足遅れて注目が集まったことから、ドットコム時代のように多くの新進気鋭のスタートアップ企業が独自に市場を形成するというよりは、インターネット時代を制覇したテクノロジージャイアント企業がアグレッシブにAIスタートアップ企業を狩りに動いていることである。

 GAFMA(Google、Amazon、Facebook、Microsoft、Apple)などの企業がこぞって覇権を競うことで、市場の過熱に拍車がかかっている。人事マーケットでも、人工知能をバックグラウンドに持つ人材には、これまでとはまったく異なる高い評価が付けられる傾向がある。

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テクノロジージャイアントによるAI関連企業の買収(2006~2016年)
(出典:フロスト&サリバン)


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AI市場への投資動向
(出典:Forbes McKinsey's State Of Machine Learning And AI, 2017,
フロスト&サリバン)



 2016年時点のAI関連投資額は、全世界で260~390億米ドルと推定されている。現時点では社内向けの投資額が7割程度を占めているが、実際にはM&Aの占める割合が急拡大しており、特にGAFMA企業は技術そのものの獲得に加え、良質な人材と顧客基盤の獲得を見据えた戦略的買収を行っている。

製造業向けのAIの活用事例

 フロスト&サリバンの2017年の調査によれば、AI関連技術が新たに生み出すビジネス規模は、2016年時点の16億米ドルから2025年には60億米ドルまで成長すると見られており、CAGR(年平均成長率)に直すと51.9%という驚異的な成長が見込まれている。

 この成長市場において、特に先進国で熱い注目を集めているのが、製造業でのAI活用の可能性である。

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製造業におけるAI技術活用の方向性
(出典:フロスト&サリバン)


 以下では、製造業におけるいくつかの先進的なAI活用事例を挙げたい。

【次ページ】設備の予防保全や品質管理、3Dプリンタなど、製造業向けのAIの活用事例
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