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現在、サーバ市場においてもっとも成長している分野が、多数のストレージ内蔵サーバをソフトウェアによりクラスタ化することで高いスケーラビリティを実現した「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」です。
しかもこの分野を立ち上げて切り開いてきたのは、サーバ市場の巨人であるDell EMCやHPE、シスコなどではなく、NutanixやSimpliVityという新興ベンダでした。
2016年10月に発表された米調査会社
ガートナーのレポートでは、ハイパーコンバージドインフラストラクチャは「統合システム市場を破壊的しつつある」と表現され、しかもこの市場の7割をNutanixとSimpliVityの2社で占めていると説明されています。
2社のうちNutanixは早くから日本国内に法人を設立し、日本国内においてもハイパーコンバージドインフラストラクチャの市場を切り開いてきた存在として知られています。しかしもう1つの企業、SimpliVityは日本法人を置かず国内の販売チャネルも事実上存在しなかったため、ほとんど知られることはありませんでした。
その状況が今年になって大きく変わりました。2017年1月、サーバ市場の大手企業であるヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)がSimpliVityを買収したのです。
HPEは数年前から自社製のハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品を開発し、提供していましたが、急成長するこの市場においてその存在感は乏しいものでした。そんなHPEによるSimpliVityの買収はまさに逆襲の一手であり、同社は突如としてこの破壊的な市場におけるトッププレイヤーの地位を手に入れたのです。
そしてHPEの日本法人である日本ヒューレット・パッカードは6月15日、SimpliVity買収後最初のハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品である「HPE SimpliVity 380」の国内提供開始を発表しました。国内のハイパーコンバージドインフラストラクチャ市場において、Nutanixを追撃する態勢が整おうとしています。
記者発表は都内の高級ホテルで行われ、しかも集まった記者の前で同社のエグゼクティブたちが金屏風の前で鏡開きまでしてみせるという力の入った演出は、日本ヒューレット・パッカードがこの製品発表をいかに重要なものだと考えているかを示しています。
ストレージ処理にFPGAを組み込み、リアルタイムな重複排除を実現
「HPE SimpliVity 380」の最大の特長は、ストレージ仮想化の処理の一部にFPGAを組み込んだ専用のアクセラレータを用いることで、リアルタイムな重複排除を実現したことにあります。
これによってデータを平均60%~70%削減。より効率的なストレージ領域の利用を実現するとともに、実際にストレージに書き込むデータも減るためI/O劣化も起こさないと説明されています。
さらにアクセラレータとRAIDコントローラなどの処理はサーバのCPUからオフロードされるため、サーバのCPUに余計な負荷がかからず、高い集約率を実現。
バックアップやディザスタリカバリ機能までも統合したことによる充実したストレージサービスも特長として挙げられます。
同社はこうした特長を「妥協のないストレージ機能」と称し、「一気にシェアとしては一位を取っていきたい」(データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 統括本部長 本田昌和氏)と、意欲的な姿勢を見せています。
※本記事は、ブログ「
Publickey」から転載、一部を再構成したものです。
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