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東京オリンピック開催が決まり、インバウンド需要に拍車がかかる日本。訪日外国人旅行者数は順調に伸びている。訪日外国人旅行者が増える事で、経済が潤うのはありがたいことだが、このインバウンドブームは具体的に何に支えられているのだろうか。せっかく迎えたブームの足を引っ張っているのは何なのだろうか。インバウンド需要をさらに拡大させ、ビジネスチャンスをものにするには、何をすればよいのか。日本政府観光局 インバウンド戦略部 次長 広瀬正彦氏が、日本のインバウンド動向のこれまでとこれからを解説する。
日本のインバウンド50年の歴史
日本政府観光局(以下、JNTO)は、正式名称を独立行政法人 国際観光振興機構という(
図1)。
東京オリンピックが開催された1964年に産声をあげ、日本の公的機関として50年間にわたって訪日外国人旅行者の誘致に取り組んできた。広瀬氏はそれを「インバウンド一筋 50年」と表現した。現在JNTOは、ソウル、北京、上海、香港、バンコク、シンガポールなど世界17都市に海外事務所を持つ。この先も4つの事務所が新たに開設される予定だという。
JNTOの主たる事業は外国人の訪日旅行促進で、訪日旅行市場に関する市場分析・マーケティング、海外現地旅行会社による訪日ツアー企画・販売の促進、海外現地メディアを通じた広告・宣伝、ウェブやSNSを通じた訪日観光の情報提供などを展開している。
前年比21%増、「爆買い」後も増加を続ける訪日外国人旅行者数
ひところ、東京の繁華街を歩くと右も左も外国人で、百貨店や量販店ではいわゆる「爆買い」が目撃されたものだが、最近はそれほど目にしなくなった。とはいえ、インバウンドブームが終息へ向かっているわけではない。
図2は訪日外国人客数の推移を示したグラフだが、2016年は2404万人を記録、前年比21%増となった(
図2)。
2015年が前年比47%増と劇的な伸びであったため、一見減少したように感じられるのだが、いまだ訪日外国人旅行者はふたケタ成長を続けているのだ。また、この2000万人というのは、当初、政府にとって2020年の達成目標だった。それを4年前倒しの昨年に実現。1000万人達成には10年かかったのに、2000万人達成には3年しかかからなかったという。
【次ページ】インバウンドブームの前進に向けた5つの課題
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