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- 2017/01/27 掲載
副大統領マイク・ペンスとは誰か?LGBTを巡るアップル、セールスフォースとの「因縁」
ホワイトハウスWebサイトから消えた「LGBTの権利」
では、米国大統領 ドナルド・トランプ氏はLGBTに対し、どのような立場をとっているのだろうか。米国最大の公民権団体Human Rights Campaign(以下、HRC)は、トランプ氏の立場を分かりやすくまとめている。
トランプ氏のLGBTに対する立場 | |
同性結婚 | 反対。理由は「自分は伝統的だから」。パートナーシップは支持していたが、後に反対だと述べる。 |
LGBTへの差別 | 宗教や信条をもとにした行動に対し、米国政府が関与することを禁止する米国憲法修正第一項を支持。(筆者注:宗教、信条を理由としたLGBTへの差別を容認している、とも解釈できる) |
トランスジェンダーの平等 | トランスジェンダーの権利を制限するノースカロライナ州の法案HB2に賛成を表明。 |
コンバージョンセラピー(筆者注:記事後半で解説) | 不明 |
LGBTカップルの養子縁組 | 不明 |
LGBTに対するいじめの禁止 | 不明 |
(HRCの発表内容をもとに筆者が作成) |
トランプ氏は全体的にLGBTの権利拡大に反対している。
副大統領マイク・ペンスとアップル、セールスフォースの因縁
一方、米国副大統領 マイク・ペンス氏は、どんな人物なのか。米国政府Webサイトでは、概ね以下のように紹介されている。本名マイケル・R・ペンス。
1959年1月7日、インディアナ州コロンバスに生まれる。
ハノーバーカレッジにて歴史を専攻。
その後、インディアナ大学ロースクールに進学。
妻のカレン・ペンス氏に出会う。卒業後、弁護士として活動。
インディアナ・ポリシー・レビュー・ファウンデーションに参画。
ラジオ番組「マイク・ペンス・ショウ」放送開始。
3児をもうける。2000年、インディアナ州下院議員選挙に当選する。
2013年、インディアナ州知事就任。
2017年、ドナルド・トランプ大統領の下、副大統領に就任。
同氏は、LGBTに対し、どんな立場をとっているのか。ペンス氏がインディアナ州知事を務めていたときのアップル CEO ティム・クック氏とセールスフォース CEOベニオフ氏との対決を振り返ると、その立場がよくわかる。
2015年3月、当時インディアナ州知事だったペンス氏が署名し、ある法律が成立した。「信教の自由回復法(Religious Freedom Restoration Act)」だ。この法律は、州が信教の自由に圧力をかけることを禁じる、という内容だ。この法律があれば、LGBTに対して差別を行っても、宗教を理由にすれば合法となる。雇用主が信教の自由を理由にLGBTの従業員を解雇することも可能になる。
これに反対したのが、クック氏やベニオフ氏など、経営者たちだ。
ベニオフ氏は、ツイッターで「ペンス知事によってインディアナ州にすばらしいダメージが与えられた」と皮肉を込めてペンス氏を攻撃した。さらに、希望する社員にインディアナ州外への移住を認め、会社としてサポートした。
Amazing damage done by @GovPenceIN and #rfra to @VisitIndiana. http://t.co/9A14M6JvVk
— Marc Benioff (@Benioff) May 12, 2015
また、ツイッターで「差別に対抗するため、顧客/従業員にインディアナ州への旅を要するすべてのプログラムを今日キャンセルします」と発表した。
Today we are canceling all programs that require our customers/employees to travel to Indiana to face discrimination. http://t.co/SvTwyCHxvE
— Marc Benioff (@Benioff) March 26, 2015
自身もゲイであるクック氏は米ワシントンポストに寄稿し、「米国のビジネスコミュニティは、あらゆる形の差別はビジネスにとって有害だと大昔に認めた。アップルでは、我々は顧客の人生に力を与え、豊かにするビジネスに身を置いている。我々は公正で公平なビジネスに向かって歩いている。だから、アップルを代表して私は、どこから新法の波が現れようとも反対するために立ち上がった。より多くの人が反対活動に参加することを願って寄稿している」と発言した。
そのほかにもYelpやゼネラル・エレクトリックなど有力企業が同調。さらに、セールスフォースはインディアナ州の有力企業8社とともに連盟でペンス氏に手紙を出すなどして、圧力をかけた。
そして4月、ペンス氏は修正された信教の自由回復法に署名し、LGBTに対する差別をできなくする形で法律が成立した。ペンス氏は、「我々の州はビジネスを支持する環境としてまさしく賞賛されていて、我々は居心地の良い環境を提供し、寛大で、寛容で、親切だという国際的な評判を享受している。インディアナ州の人間にとって、居心地の良い環境づくりは、スローガンではなく、人生のあり方だ。これ(信教の自由法)はいまや過去のもの。この州を偉大にする礼儀と尊敬に向かってともに再出発しよう」と発言した。
【次ページ】米国では企業がLGBTの逃げ場になるのか?
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