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- 2016/06/27 掲載
富士通も出展したSXSWという体験:いま、企業がSXSWへ向かう理由
「PLY × Filament "Shake & Stand" vol.1」パネルディスカッション
SXSWとは?
SXSWはもともとは音楽・映画のフェスティバルだ。「インタラクティブ」部門がスタートしたのは1998年。インターネットが普及し始め、Flashや動画を扱ったコンテンツ・PR手法が注目されていた頃だ。以来、主にIT関連の新しい企業の展示などが盛んに行われてきた。たとえば、Twitterは2007年にSXSW Webアワード大賞を受賞し、その後大きく広がることになった。現在では、新しいアイデアや革新的な技術を取り入れたデバイスの製品化を目指すハードウェアベンチャーの多くがSXSWに出展している。記憶に新しいところでは「Moffバンド」、「Orphe」など。10日間の会期中、全体で10万人規模の動員数、インタラクティブ部門だけで85カ国3万人の来場者だ(2015年の数字)。
今回、SXSWに出展した企業が集まり、企業のオープンイノベーションの現状を探るパネルディスカッションが富士通主催で行われた。登壇は、QUANTUM 井上 裕太氏、16Lab Inc. CEO 木島 晃氏、朝日放送 ABC DreamVentures担当 白井 良平氏、富士通総研 佐々木 哲也氏、モデレーターはインフォバーン 木継 則幸氏。
QUANTUMは広告エージェンシーから独立、企業と組んで事業開発を行うほか、自社で製品開発も行っている。SXSWでは3つのプロダクト「eny」「Jō」「kizuki」を展示。SXSWに行こうと決めたのは2015年12月、まだその時点では何となくのアイデアはあったものの、「eny」「Jō」もできていなかったという。2ヶ月でコンセプトを作り、プロトタイプ作成、ムービーまで作り上げた。「プロトタイプをまず作ってしまって、それから外を巻き込んでいくという形でやっている」(井上氏)
16Labは指輪型デバイス「ozon」を開発しているベンチャー企業。開発のきっかけは5年前、スマートフォンメーカーがディスプレイにこだわっていることに違和感があったという。「PC、ラップトップ、携帯電話といまだにディスプレイの話をしている。ユーザーにしたら技術が進化しているにもかかわらず、それを本当に望んでいるのか?」と疑問を感じたことから。ユーザーの1日の動きをトレースし、ディスプレイのないコンピュータでサポート可能な動作が数多くあることがわかったという。次世代の端末として、極小ウェアラブル端末の開発を目指す。開発中のプロトタイプが評価され、現在、数々の領域の企業から技術協力(共同開発)などのオファーを受け、開発を進めている。ソニーの研究開発のプログラム「Future Lab Program」に採択され、SXSWに出展した。
白井 良平氏は、ABC Dream Venturesという朝日放送が立ち上げたコーポレートベンチャーキャピタルにてファンドを担当する。ABC DreamVenturesは放送業と他領域のシナジーを目的とするCVCだ。放送業という公共性も意識し地域社会への貢献として、関西に拠点をおくスタートアップ企業の支援を行う。「どんなことでも話を聞く。投資だけでなく、何か自分たちの持つリソースで協力できることがあれば、それが見聞きしてきた知見であったりするかもしれませんが、必要があればシェアするなど心がけています」(白井氏)。現在、「akippa」、「Results On Air」、「Videogram」へ出資している。
佐々木 哲也氏は2015年はまだ研究開発段階だったプロジェクト「漢方ICTプロジェクト」を富士通総研としてSXSWに出展。今年は富士通として「次世代センサーシューズ」を展示した。これは富士通の中で開発をしているチームからSXSWに出展したいと相談を受けたことからだった。共創パートナーと取り組んでいるサービス開発も含め、プロジェクト全体としての出展となった。「SXSWは30年間常に進化し続けている、固定ではないところが1つの魅力。そういう場所にまだ未完成のものもチャレンジして出して、いけるかいけないか判断するという活用の仕方もあるのかなと思っています」(佐々木氏)
【次ページ】なぜ、SXSWなのか?
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