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- 2016/02/19 掲載
J CREATION CEO 清弘 文哉氏が語る 「タイのデザイナーは“いい意味でオタク気質”」
起業家 清弘文哉 さんインタビュー(後編)
前編はこちら
タイには優秀なデザイナーが多い? その理由は
――御社の社員には、どのような方が多いんですか?清弘さん:タイの美術大学を卒業した社員がほとんどです。なかには、タイの東大のような大学を卒業して、どうしても日本のアニメやゲームの絵を描きたいからと、入社したスタッフもいます。
全体的に言語能力に長けている社員が多いのも特徴的で、タイ語以外に英語はもちろん、日本語を話せる社員が複数います。タイでは自国のコンテンツが比較的に少ないので、漫画やアニメ、映画などは海外の作品を見るしかないからだと思います。社内では、英語と日本語が飛び交っています。
――先ほど、タイには「優秀なデザイナーが多い」とおっしゃいましたが、その理由は主に日本を始め海外発のアニメやゲームが流行っているからなのでしょうか?
清弘さん:もちろん、それも要因のひとつですが、近年、タイが国を挙げてデザイナーの育成に取り組んでいることも、大きく影響していると思います。
バンコクには、「BACC/バンコクアート&カルチャーセンター」や「TCDC/タイ・クリエイティブ&デザイン・センター」といったデザイナーを支援するための施設が次々に設立され、タイのデザイン業界は盛り上がりを見せています。また、街中には洗練されたデザインのビルや商業施設、飲食店が続々と建設され、プロジェクションマッピングを施したデパートも話題を読んでいます。
そのせいか、タイには優れた美的感覚や高いクリエイティビティを持つ人材が、多く存在します。そんな彼らの表現方法の1つが、イラストなんです。タイでイラストを描く人の割合は、日本に比べて高い印象があります。
タイ人には、良い意味でオタク気質の人が、日本よりも多いんですよね。自分の好きなものには強いこだわりを持っていて、納得がいくまでとことん取り組みます。絵が好きな子は何時間でもずーっと描き続けたりしますし、イラストやデザインに対する熱量がすごいんです。
ですから多少、日本人に比べ物事にゆるい側面を持つクリエーターもいますが、一つ一つの作品に丁寧にプライドを持って臨んでくれます。
出社時間がゆったり気味? 日本人とは異なる時間感覚
清弘さん:タイ人と日本人との大きな違いは、タイ人は日本人よりも明らかにマイペースでゆるい感覚を持っているということ。特に時間やスケジュールについては疎い部分があり、そこをカバーするのが僕の大切な役目のひとつです。
「今日はコレとコレを作業して、提出しようね」といった具合に逐次、メンバーに伝えておしりを叩くようにしています。また、工程別にデータの提出日を設定し、客先への納品日には響かないよう、つねに2・3日前倒ししてスケジューリングをしています。
しかし、基本的に集中力は高いので、スイッチが入ると制作スピードはどんどん上がっていきますし、徐々に日本のスケジュール感覚にも馴染んできたと感じています。
【次ページ】デザインやイラストのオフショア事業は急拡大しない?
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