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- 2015/11/04 掲載
アプリでスポーツ業界は変えられるか? Player! を送り出した尾形太陽氏インタビュー
マネタイズは慎重に。サービスを充実させてからスタートさせる
──これまでの経歴と起業のきっかけについて教えてください。
尾形氏:子供の頃から、ずっとサッカーに熱中しており、Jリーグを目指すクラブに在籍をしていました。そのためスポーツ関係の事業にも興味があり、早稲田大学時代に一度起業し、事業家としての経験を積みました。大学卒業後は孫 正義社長にあこがれていたこともあり、ソフトバンクに入社しました。ただ、いずれ自分で本格的に事業を起こしたいと思っていたこともあり、それならば早いうちにと、入社して1年が過ぎた2014年4月からookamiを立ち上げました。
尾形氏:後押ししてくれる仲間がいたことが大きかったですね。大学時代からスポーツ分野における情報革命の可能性を考えていました。弊社には共同代表がおり、彼がシリコンバレーから帰国したタイミングで事業を開始しようという話になり、当時の仲間が数名集まってスタートしました。
──Player! の具体的な内容と事業ドメインについて教えください。
尾形氏:事業ドメインは「スポーツ×IT」です。ミッションは、情報技術によってスポーツ界を良くすること。Player! を開発した理由は、世界中に散らばるスポーツ情報をしっかりと整理し、最適な状態で分配できる仕組みを作りたいと考えたからです。思想的にはキュレーションサービスに近いかもしれません。
Player! は、サッカーや野球などのメジャースポーツから、オリンピック競技、その他のアマチュアスポーツまで、幅広いテーマから興味やシーンに応じて、いつでもどこでもスポーツを体感できるニュースアプリです。Player! 内でつながった友人や著名人と、ライブの試合経過やスコア、コメントを共有したり、1日10,000件以上のニュースから厳選された記事やコメントを無料で閲覧・保存できます。
──ニュースアプリはマネタイズに苦労しているものも多いですが、Player! はその辺り、どう考えていますか?
尾形氏:実は、まだ収益化を図っていませんが、広告とECによってマネタイズできると考えています。スタジアムに多くの広告が入ることからも理解できますが、スポーツと広告の親和性は高いです。我々のサービスはタイムライン形式で、広告をすぐに入れられる状況です。
一方、ECについては中・長期的な視野で考えています。情報を分配する最適なロジックとノウハウがネットで蓄積されてきたので、モノに関してもうまく流通させられる仕組みが求められています。これまで量販店で購入できたスポーツ用品を、ネット購入へとシフトできる場所、プラットフォームを作る必要があると考えています。
──なぜスポーツ分野のECに可能性があると考えられたのでしょうか?
──なるほど。ECにシフトしていないのは習慣的な要因が大きいということですね。
尾形氏:スポーツ界はIT化が大変遅れていると感じています。もちろんチャネルとしてECを用意しているメーカーがほとんどですが、まだサービスとしてはこれから。消費者の習慣を改善させることは非常に難しくてタフな問題です。解決策は、良いサービスを愚直に提供することに尽きると思います。それにより競合が生まれ、多くの選択肢ができる。スポーツ界は保守的なので、体力勝負というか、やり続ける体力をつけることが大事です。そのため、すぐにECに着手しようとは考えていません。しっかりとユーザーの動向をつかんで進出したいと考えています。
──こうしたマネタイズに関して、具体的なスケジュールはあるのでしょうか?
尾形氏:正直に言うと、できるだけ先延ばしにしたいと考えています。サービスを改善し、ユーザーを集めるサイクルを可能な限り長くしたいからです。「SmartNews」さんなどの戦略に近いかもしれません。資金調達も、ユーザー獲得のサイクルに含まれる形にしたいと考えています。
そういう戦い方が、良いコンテンツを作るコツだと思います。収益化にスイッチすると、どうしてもサービスに手が回らず、リソースが分散してしまいます。マネタイズの準備は行っていますが、市場環境に左右されるため、いつスタートするかは決めていません。今年度中に着手できれば、というイメージです。
【次ページ】 スポーツのライブストリーミングで差別化を図る
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