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- 2015/10/16 掲載
ひとり情シスの不安を払拭せよ――サイボウズが提供するおもてなし体験とは?
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クラウドへのシフトが促した「受け身のサポート」からの脱却

カスタマー本部
カスタマー本部長
関根 紀子氏
ところが、いま、それが変わりつつある。原因はクラウドだ。これまでパッケージでできていた多くのことは、クラウドでも可能になった。月額課金ですぐに始められ、やめたければすぐにやめられるクラウドは、いま、急速な勢いで企業に浸透している。
国内の中堅・中小企業向けグループウェア市場でトップシェアを誇るサイボウズは、既存のパッケージ製品に加え、2011年以降クラウドでのサービス提供を開始している。それにともなって、サポートの役割も変わりつつあると語るのがサイボウズ カスタマー本部 カスタマー本部長 関根 紀子氏だ。
「パッケージを導入されるお客様は、サーバを扱われることもあり、ITに強い方がほとんどでした。しかし、クラウド以降、必ずしもITに詳しくないお客様にも我々のグループウェアを手軽に使っていただけるようになりました。したがって、こうしたお客様を支援することが、サポートの重要な役割になっています。また、クラウドになると、すぐにやめられるお客様も増えるため、お客様にできるだけ長く使っていただけるよう、さまざまな支援を継続的に提供することも求められています」(関根氏)
企業は手軽にグループウェアを使えるようになった一方で、たった一人で組織の情報システムを管理しなければならない“ひとり情シス”も多い。比較的規模の小さい企業では、情シス担当者がひとりきりだったり、兼任だったりするため、業務も多く一人で導入や活用を進めていくのに不安を抱えるケースが少なくないのだ。
関根氏は、企業がグループウェアの導入、活用を成功させるためには「担当者が抱え込まないこと」が重要な要素になるという。このため、サイボウズのカスタマー本部では、問い合わせがあれば対応するという、従来の「受け身のサポート」を改め、サポートの役割を再定義した。それが「ファン作り」だ。
サポートチームのミッションは会社や製品のファンを作ること
現在、サイボウズのサポート組織は、大きく2つのチームにわかれている。1つは約50名で運用されている愛媛県松山市のサポートセンターだ。こちらは、主に中堅中小企業からの問い合わせに対応する。もう1つが、サービス試用中の、いわゆる「お試し期間」の顧客に直接電話をして、さまざまな相談を受けるチームだ。こちらでは、顧客の困りごとを直接聞いて、具体的な提案まで行う。いずれも、課せられたミッションは「ファン作り」である。「我々のミッションを『ファン作り』にしたのは、サイボウズやサイボウズ製品を好きになっていただき、使い続けていただきたいという思いからです。従来は聞かれたことに答えるだけだったサポートの役割を、お客様の真のニーズをとらえて、それにお答えしていくという方向に変えたのです」(関根氏)
そこで同社は、2012年、松山のサポートセンターにサポート品質をチェックする専任担当者を置いた。担当者は、2カ月に一度、録音された全員の電話対応を聞いて、その品質をチェックする。さらに、1年に一回、外部の評価会社にも同様の評価を依頼しているという。
「品質チェックでは、技術と応対の両面を見ます。あくまでテクニカルサポートですので、技術的に正しい対応ができているかどうかは重要なチェックポイントです。もう1つの応対面では、感じのよい対応ができていることはもちろんですが、お客様に関心のある対応ができているかどうかをチェックします。たとえば、お客様が『○○をしたい』と言われたとき、『そういう機能はありません』と答えるのではなく詳しくお聞きして、お客様の真のニーズに応えるようにしています。常にお客様の課題に関心を持って対応されているかをチェックしています」(関根氏)
サイボウズでは、自社のサポートを「おもてなしサポート」と呼び、日々、その品質向上に取り組んでいる。顧客に感動を届ける活動も、その一環だ。たとえば、顧客の要望をもとに機能改善が行われた場合、バージョンアップの際、機能が改善されたことをその顧客に個別に報告するという。また、クラウドを導入した顧客に送付している、1枚1枚宛名を手書きしたサンクスレターも好評だ。
サポートで蓄積された顧客からの要望を活かした製品・サービス開発
サイボウズのサポートセンターには、月間約1万件の問い合わせがある。そこで蓄積された情報は、もちろん製品やサービスの開発・改良に活かされている。「お客様からいただいた要望はデータベースに登録され、開発担当者がいつでも参照できる仕組みになっています。また、松山のサポートセンターには製品担当者が在籍し、要望データベースを管理するとともに、どのような要望が多いのか、お客様が何で困っているのかといったことをつねにチェックし、開発との橋渡しをしています」(関根氏)
同社の製品は歴史が長いだけに、こうしたユーザーの声をもとに追加・改良された機能は数多いという。同社においては、製品・サービスの仕様策定のプロセスに、要望データベースの活用がしっかりと組み込まれているのである。
さらに、クラウド時代になると、すでに製品・サービスを利用している顧客サポートだけでなく、未来の顧客へのサポートも必要になる。前述の「お試し期間」のユーザーを直接支援するのもその1つだが、同社はさらに一歩踏み込んで、フェイス・トゥ・フェイスの支援にも取り組んでいる。それが、「導入相談Cafe」だ。
九州や北海道からの相談者、子供連れの相談者も訪れる「導入相談Cafe」

「導入相談Cafeは、コーヒーを飲みながらサイボウズ製品の導入相談ができるスペースです。おかげさまで盛況で、九州や北海道からのお客様もいますし、中には『サイボウズだから大丈夫でしょう』と、お子さん連れて相談にこられるお客様もいらっしゃいます。特に規模の小さい企業の場合、情シス担当者はひとりきりで悩まれているケースは少なくありません。もしもそういう方がいらしたら、ひとりで抱え込まず、ぜひお気軽に導入相談Cafeを利用していただければと思います」(関根氏)
サイボウズでは、この他にもさまざまなサポート強化の取り組みを行っている。たとえば、直近では、FAQを充実するためにシステムを刷新した。また、ユーザーのコミュニティをスタートし、サイボウズ自身はファシリテーターとして参加する試みも行っている。今年11月には、札幌に新たなサポートセンターも開設予定だ。
「お客様に満足していただけるように、さまざまな取り組みにチャレンジしていますが、まだまだ足りないと思っています。ただ、最終的には『さすがサイボウズ』といわれるようなカスタマーサービスを提供していきたいと思います」(関根氏)
なお、サイボウズのカスタマーサポートの取り組みの詳細は、2015年11月6日の「cybozu.com カンファレンス 2015」でも語られる予定だ。情シス担当者の悩みに寄り添うことでグループウェア導入・活用を成功させようとするサイボウズの取り組みから、企業は新たな気付きを得られるだろう。
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