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  • 2015/08/19 掲載

ソフトバンクイノベーションプログラム、次世代CDN「Fastly」と組んだ狙いとは

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新しいテクノロジーが今までのビジネス価値やビジネスモデルを破壊し、新たな枠組みを創造する「創造的破壊」の時代が到来している。SoftBank World 2015に登壇したソフトバンク 代表取締役社長 兼 CEOの宮内 謙氏は、ロボット開発者でグーグルの未来指向の研究所「グーグルX」立ち上げにも携わったセバスチャン・スラン氏の「新しいテクノロジーの破壊力の前に安全なビジネスモデルはない」という言葉を引用し、最先端のテクノロジーがどう社会を変えていくかを語った。
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ソフトバンク 代表取締役社長 兼 CEO 宮内 謙氏

新しいテクノロジーは、瞬く間に顧客を奪っていく可能性がある

 冒頭、宮内氏は、7月31日に発売した一般向けの「Pepper」1,000台が、わずか1分で完売したことに謝意を示すとともに、新しいテクノロジーの到来が既成概念を破壊する可能性を、自動車業界を例に挙げて語った。

「自動運転のプラットフォームが実現すると、自家用車の既成概念は破壊されるのではないか。すでにスマホとSNSの台頭により、所有せずに利用する“シェアエコノミー”が出現しているし、自動運転技術により“無事故社会”が到来するかもしれない」

 新しいテクノロジーはまた、今まで競合と思っていなかった事業者がある日突然現れ、革新的なビジネスモデルにより瞬く間に顧客を奪っていく可能性を持っている。宮内氏は、UberやAirbnbの例を挙げて続ける。

「スマホアプリを使ったタクシー配車サービスのUberは、タクシー事業者が提供するサービスではなかった。宿泊施設を貸し出す人向けの“民泊”コミュニティのAirbnbは、世界190ヵ国にサービスを展開するが、ホテル業とはまったく異なる業種から参入してきた」

 こうした時代に、企業の経営者はあらゆる組織に存在する「既成概念」を一つずつ破壊し、さらなる成長を目指していく責務があると宮内氏は主張する。そして、以下の代表的な5つのビジネス分野で起こりつつある「創造的破壊」(Disruption)と、ソフトバンクが提示する最新テクノロジーついて説明した。

接客業務でも人とロボットの「役割分担」が進んでいく

 1つ目は、「販売」における創造的破壊だ。オムニチャネルが進み、販売チャネルとしてのECはさらにモバイルの利用率が高まっていく。

「数年後はモバイルECが主流になるだろう。ソフトバンクのスマホは、10月1日から、スマートID認証に対応する。これは、Yahoo! JAPAN IDと携帯電話番号をリンクさせ、簡単に認証する仕組みで、従来のECサイトで必要な会員登録や個人情報、決済情報の入力が不要になるものだ」

 Yahoo!ショッピングに出店する、ほとんどの販売事業者を対象に、キャリア課金のプラットフォームを用いた認証の仕組みを導入し、モバイルECを加速していくという。

「顧客に感動体験を与えるリアル店舗の役割は今後も残るが、販売の主流はモバイルECへ移行するのではないかと我々は見込んでいる」

 2つ目の創造的破壊は「接客」だ。接客業務においても、人とロボットの役割分担や棲み分けが進んでいく時代が到来する。

「この10月1日にはPepperの法人向けプランとして『Pepper for Biz』の申込みを開始する。これは、ビジネスに活用可能な法人向けアプリケーションを標準搭載したサービスだ。来年の今頃にはPepperをソフトバンクショップ、Y!mobileショップの店員として活用する見通しだ。Pepperは残業時間の規制にも当たらないし、電源さえあれば24時間働くので人件費削減も期待できる。さらに、ネットワークにつながれば、Pepperを通じてさまざまな情報を収集することもできる」

ターゲティングを軸としたモバイル広告の時代へ

 3つ目は、「広告」だ。4大メディアを中心としたマス広告中心の時代から、今後は、ターゲティングを軸としたモバイル広告の時代に突入していく。

「パーソナライゼーションやターゲティングといった技術を用い、利用者の生活パターンを分析し、スマホのGPS機能と連動して最適なタイミング、最適な場所で最適な広告を配信することができるようになる。そのための戦略パートナーとして、我々は、7月17日、モバイル広告配信プラットフォーム事業を展開するCinarra Systems(シナラ・システムズ)に出資した」

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シナラ・システムズ CEO アレックス・ジニン氏

 宮内氏は、同社CEOのアレックス・ジニン氏を壇上に招き、Alex氏は今後のモバイル広告市場への期待について次のように語った。

「モバイル特有の使われ方や特徴を考えたとき、すき間時間や外出時の利用、パーソナルな場所への携帯、ネットワークへの常時接続などにより、さまざまなユーザーデータが生成されている。中でもユーザーの位置データを広告に活用すれば、利用者がよりリアルにわかる。位置情報と連動したリアルタイムの広告、生活圏や行動パターンを踏まえた広告、あるいは、銀座でショッピングしている人だけの広告など、まったく新しい広告プロダクトが提供できる。そこがソフトバンクとの協業でシナラが活躍できるポイントだ」

 通信キャリアの役割も、人と人を電話回線で接続することから、リアルタイムに利用者を理解する情報の収集、分析という、データウェアハウスの役割に移行していく可能性がある。宮内氏は、新しいテクノロジーや、リアルタイムな情報を企業経営にうまく活用する会社とそうでない会社に大きな格差が生まれると指摘した。

【次ページ】「ソフトバンクイノベーションプログラム」とは?
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