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  • 2015/08/03 掲載

F5ネットワークス 古舘正清 社長に聞く、SDx時代にITインフラは何で差別化されるのか(2/2)

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ベンダーロックインに対する答は

──具体的にはどのような製品をどのような形で提供していくのでしょうか。

古舘氏:我々は、お客さまのアプリケーションを分析し、適用ソリューションを3つに分類しています。Tier1は、ミッションクリティカルで、オンプレ率が高いもの(BIG-IP領域)。Tier2は、仮想化によってどのパブリッククラウドベンダーでも動かせるもの(BIG-IP Virtual Edition)。Tier3は、ベーシックなLBサービスで提供できるものです(F5 LineRate Point)。

 日本のエンタープライズ系のお客さまは、ADC、ファイアウォール、WAFなど、機能単位のポイント・ソリューションもバラバラで導入している状況です。これでは全体最適化ができませんし、日々の運用でも大変です。

 それらをマネジメントするプラットフォームとして「BIG-IQ」を提供し、OpenStackやVMwareなどと連携を図りながら、統合管理をサポートします。さらに今後は、アプリケーションの分析レイヤーまで視野に入れて展開していきます。

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統合プラットフォーム化を推進していくという
(出典:F5ネットワークス提供資料)


──一方で、多くの企業がベンダーロックインを嫌う傾向にあります。それでも統合したほうがよいというメリットはありますか?

古舘氏:メリットの1つとして、品質があります。日本のお客さまは品質に対して非常に厳しい。そこで日本品質を米国本社の品質管理や製品管理に展開するために、新たに国内向けの「CQO」(Chief Quality Officer)を設置しました。

 これは私がマイクロソフトや日本アイ・ビー・エム時代に培った経験から来るもので、就任直後に米国のF5本社に行って、最初に直談判したことです。これからもカスタマーセントリックを起点にサービスを提供していくつもりです。

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就任して最初に行ったことは、CQOの設置依頼だった
(出典:F5ネットワークス提供資料)


エンド・ツー・エンドで、L4-7のセキュリティもサポート

──セキュリティへの取り組みについてお聞きします。昨今のセキュリティ動向と、貴社が果たせる役割とは何でしょうか?

古舘氏:現在はアプリケーションに対する攻撃も増加していますから、L4-7でセキュリティを固める役割も大きくなっています。そういう意味で、我々はネットワークファイアウォールから始まり、DDoS攻撃対策、WAF、アクセスセキュリティまで、エンド・ツー・エンドでアプリケーションを守るポートフォリオを有しています。

 国内におけるシェアを見ても、すでにWAFは約15%で、SSL-VPNは約18%をとっており、いずれも第2位になっています。いま第1位の企業とつばぜり合いをしており、トップを狙えるところまで来ていると感じています。我々のアプローチは、ポイント・ソリューションではなく、エンド・ツー・エンド・ソリューションを提供すること。ログをしっかり取得し、どこにリスクがあるのかを分析することで、最適なセキュリティを提供していきます。

 いま社内には、セキュリティに特化したコンサルタントが十数人います。またセキュリティ専門の営業部隊も近々に立ち上げる予定です。まずは社内でセキュリティ人材を育てますが、いずれ外部のコンサルティング企業との連携も考えていく予定です。

──短期的なミッションについて、何か具体的な目標があれば教えてください。

古舘氏:もちろん売上を向上させることは重要で、そのために来期の計画を立てているところです。

 とはいえ、従来のように製品の機能だけを説明しても差別化は難しいと思います。そこでお客さまから見て効果が分かりやすいソリューション・パターンを準備しています。たとえば、いまSSO(シングル・サインオン)市場が活況を呈していますが、その中でF5製品を組み合わせて提供するといったことです。Active Directory経由からの認証だけでなく、Salesforceからなど、お客さま目線で多くのユースケースを考えています。

 また、ITがよりビジネスに貢献できるよう、L4-7の「成熟度チェックツール」の提供をはじめました。さまざまな観点からお客さまのインフラ環境をアセスメントし、その強みと弱みを分析して、次の計画を一緒に考えていきたいと考えています。

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L4-7成熟度の向上を目指したツールは現在、先行パートナーと開発中という
(出典:F5ネットワークス提供資料)


 現状は、Software-Defined化も実現できていない状況なので、その対応が取れる仕組みづくりとしても、我々の成熟度チェックツールや共通レイヤー化が重要になるでしょう。先にも述べたBIG-IQの戦略は、エンタープライズで浸透しているBIG-IPというお客さまの既存資産を活かしながら、IT投資に見あった形で機能を提供できる点に大きな価値があると思っています。

──本日は貴重なお話をありがとうございました。
(聞き手:編集部 松尾慎司 構成:井上猛雄)

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