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スマートフォンやM2M通信などネットワークの利用が多様化し、クラウドにデータを預けることが一般化するなど、PCとサーバが中心となり、IPだけで構成されていたネットワークに大きな変化が訪れている。サーバやアプリケーションの仮想化技術の進化が続いて、こうした変化を支えてきた。さらにここ数年注目されているのが、SDN(Software Defined Networking)と呼ばれるネットワーク技術だ。これからの時代を支えるネットワークに、そしてその中核を担うADCには何が求められるのか、米A10ネットワークスの創設者でCEOのリー・チェン氏に聞いた。
高まるSDNへの期待とA10ネットワークスがSDNで果たす役割
いま、世界中のネットワークは大きな変化の局面を迎えている。目に見える大きな変化としては、マルチデバイス化やBYODが広がりひとりが何台もの端末を使い分けるようになったことが挙げられる。接続するデバイス数が飛躍的に増加し続けるうえに、端末の多様化により求められるサービスも多様化の一途だ。
「モバイル端末の増加により、クラウドにデータを預けることが急速に広まりました。その結果、クラウドの重要度はこれまでになく高まっています。クラウドサービスを効率的に、安全に提供するための機能がネットワークに求められており、重要なキーとなるのがSDNです。」
リー・チェン氏はそう言い、こうした変化がデータセンターのクラウド化、高機能化を促していると語る。サーバロードバランシング、SSL、DDoS攻撃対策やWebアプリケーションファイアウォールなどの高度なセキュリティが求められ、並行してIPv4からIPv6への本格的移行も進んでいる。それらに対応したうえで、各種サービスをクラウドで迅速に提供するための高い柔軟性をSDNで実現していかなければならない。
「必要な機能ごとにデバイスを導入していった結果、データセンターの機器構成は複雑化しています。これでは機能はそろっても、柔軟性や迅速な対応は難しくなります。こうした状況を変えていくのが、A10ネットワークスのADC製品です。DDoS対策などのセキュリティ機能を集約して機器構成をシンプルにし、さらにネットワーク管理に柔軟性を与えます。」
リー・チェン氏はA10ネットワークスのSDNソリューションの中心には3つの柱があると語った。ひとつは、世界標準であること。互換性の高い標準ベースのソリューションを提供し、他のソリューションとの相互接続性を確保する。ふたつ目は、パートナーシップの重視。ユーザやパートナー企業が持つ特定のアプリケーションやニーズにも対応を広げ、それらのソリューションを統合できる機能をA10ネットワークスからは提供していく。
その機能とは具体的には、ポリシー制御のためのL7インテリジェンスや、OpenFlow向けの拡張などとなる。そしてみっつ目に挙げられたのは、A10ネットワークスのコア技術の進化だ。ロードバランシングや冗長化によるアベイラビリティの確保、リソースのモビリティの確保などだ。
ソフトウェアベースであることがA10ネットワークスの強み
A10ネットワークスのADC製品はアプライアンスとして提供されるが、そのコアとなる強みはソフトウェアにこそあるとリー・チェン氏は胸を張る。トラフィックコントロールに特化した専用ソフトウェア、ACOS(Advanced Core Operating System)がそれだ。2005年に開発が始まり、7年以上の開発期間を費やして進化を重ねてきた。2007年にはIPv4/v6の同時サポートを可能にし、その後も追加ライセンスなしで使えるSSLアクセラレーションや、キャリアグレードNATを含むIPv6移行機能など先進的な機能を取り入れ続けてきた。
「近年ではADCベンダとして初めてDNSアプリケーションファイアウォールを搭載、DNS攻撃やDDoS攻撃リスクの低減に成功しました。またコネクション当たりのコストやエネルギー効率の向上にも力を入れ、データセンターのグリーン化にも貢献しています。」
【次ページ】SDN、IPv6分野で期待される日本市場の先進性
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