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IPv4の枯渇、ネットワーク構造の複雑化、ビッグデータ…ネットワークを取り巻く環境の変化は速い。そのような変化の中、ネットワーク製品の中で重要性が増しているのが、アプリケーションデリバリコントローラ(ADC)だ。世界でも日本でもADCで飛躍的な成長を遂げたA10ネットワークスの代表取締役社長 小枝 逸人氏を訪ね、IPv6移行やクラウドビジネスの最新動向について話を訊いた。
日本型ビジネスで次世代の課題に取り組む
18四半期連続で売上増。リーマンショックも乗り越え、一昨年、昨年は対前年比150%の成長を遂げて、シリコンバレーのハードウェアコンピュータ部門でナンバー1になった。2004年の創業以来、現在までに1200を超える顧客に、6000台を超える製品を出荷してきたのは、米国カリフォルニアに本社を持つ、A10ネットワークスだ。
売り上げの大半を占めるのは、同社躍進の立役者であるアプリケーションデリバリコントローラ(ADC)製品のAXシリーズ。ネットワークの中核となる製品を主力としている同社は、ネットワークの使われ方や環境の変化に対応を重ねてきた。ベースとなるOSは2年間かけて独自開発されたもので、ACOSと呼ばれる。共有メモリに接続した各CPUが完全な並列処理を行うことにより、優れたパフォーマンスを発揮するよう工夫されているという。
ハードウェア、OSの双方で高効率を目指した結果、他社製品に比べてコスト効果に優れており、少ない台数で高いパフォーマンスを発揮できるので、機器台数を減らして電力消費量を削減し、データセンタのグリーン化にも貢献するという。
そのA10ネットワークスで、代表取締役社長 兼 CEOをつとめる小枝逸人氏は同社の特徴を次のように語る。
「同業他社に比べて技術者が多いのが一番の特徴です。全社員の実に45%を技術者が占めています。これは日本法人においても同様です。マーケティングの会社ではなく、マーケットのテクノロジリーダーでありたいと願っています」
日本法人も2009年3月の設立以来、対前年比3倍の成長を維持している。これはワールドワイドでの成長を上回る成長だ。2011年度は上期で昨年の実績を上回り、通年で2倍の成長を達成できそうだと小枝氏は胸を張る。
「日本市場には日本市場の特徴があります。A10ネットワークスの本社は米国にありますが、米国流のやり方を押し付けません。実際、日本法人には大きな権限が与えられ、日本型の経営に取り組み、ローカルな要望にも対応したことが成果につながったのだと思います」
小枝氏が言うように、A10ネットワークスは大規模なネットワーク製品としては珍しく、導入当初からGUIを日本語化するなど、ローカライズには積極的だ。こうしたことは各国の現地法人で行われており、“日本流”は日本法人設立以来の社風となっているという。その小枝氏が日本市場で注目するのが、データ量の増大とIPv6への移行、クラウドサービスの3点だ。
「ネットワークは今、大きな転換期に差し掛かっています。スマートフォンやタブレットの登場によりコンシューマユーザーがネットワーク上で扱うデータ量が一気に増加しています。日本でもスマートデバイスが急激に普及しており、これがクラウドにも弾みをつけました。ネットワーク業界でみれば、IPv4アドレスの枯渇も重要なテーマです。これらのひとつひとつに、解決策を提示していくのが我々のつとめだと考えています」
【次ページ】IPv6への全面移行には10年かかる
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